・ グッドラックとやま 2026街づくりキャンペーン ・松川べりのグレードを高め 県都・富山市の魅力アップを

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松川べりのグレードを高め 県都・富山市の魅力アップを

「グッドラックとやま」2015(平成25)年11月号座談会より再編集

 富山市中心部を流れる松川べり一帯。そこには、歳月をかけて磨き上げられた「水の都・とやま」の象徴とも言える、美しく豊かな時間が流れている。多くの人々を魅了するこの空間は、行政、民間、そしてこの川を愛する多くの人々の揺るぎない「志」が、幾重にも重なり合い、結実した結晶とも言える。今回は北陸新幹線開業という大きな節目を迎えた当時、関係者有志で行った座談会を紹介する。

◇座談会出席者
[役職は平成27(2015)年当時]

柏島 道浩 さん
(富山県建設技術センター事務局 次長・技術課長)
畠山 昌平さん
(富山県土木部河川課 副主幹・改良係長)
佐伯 滋さん
(富山県富山土木センター 工務第二課長)
京田 憲明 さん
(富山市都市整備部長・技術士)
原 雅博さん
(富山市商工労働部 観光振興課 主幹)
清水 健さん
(富山市建設部公園緑地課計画整備係 副主幹・計画整備係長)
沖村 一 さん
(富山市上下水道局下水道課 課長代理・計画係長)

司会/中村 孝一(グッドラックとやま発行人)

松川の可能性を活かし、富山らしさを創出しよう

中村 北陸新幹線が開業し※、富山らしさがますます求められる中、富山の歴史・文化と深く関わりのある松川一帯のさらなるグレードアップが求められています。
※2015年3月に北陸新幹線が開業した。

柏島 私が富山土木センターにいた時に、松川のリバー劇場の整備、及びその向かい側の護岸を段々に切り崩して、川の眺めを楽しめるよう整備しました。土木担当としては、河川が災害を起こさないようにすることが第一ですので、このような整備に関しては、どうしても慎重になりますが、精一杯のことをさせていただいたと思います。
 経費を考えずに思い切ったことを言えば、いたち川を赤江川に持っていけば、その分、遊びの部分ができますので、遊覧船の航路を延ばすことは可能になります。もちろん、赤江川を拡幅したり、何カ所か堰を作ったりしなくてはなりませんが…。住民からの盛り上がりがあれば、そのようなことも可能になるかもしれません。

中村 現在、リバー劇場では桜の時期に箏の演奏をしたり、秋にはリバーフェスタを行ったりと活用させていただき、大変好評です。また、松川茶屋横のカフェテラスも、川や遊覧船が見えて雰囲気がいいので人気がありますね。
 松川べりで水に親しめる空間として、最初に整備されたのが、富山城址公園内の「親水のにわ」ですが、当時、担当をされたのは京田さんでしたね。

管理と整備のレベルアップを

京田 昭和63年頃の工事ですね。当時、県の都市計画課で公園係長だった埴生元土木部長から、松川べりに掘り込みの庭を作れないだろうかとの依頼があり、担当することになりました。この時、河川法や水利権などに関する必要な手続きはしていましたが、もともと川の専門家ではないので、あまり護岸を掘ってはいけないという意識もなく、わりと自由に図面を描かせていただきました。後ろがずっと高い敷地なので、そこの護岸は切っても大丈夫でしょうということでしたし……。
 以前からあった植物を移植するのを中心に、松川の水を汲み上げて、上からポンプでもう一回滝のように流すなどの工夫をし、当時の金額で5、000万あまりの工事だったかと思います。このような工事としては低予算でしたが、たくさんの方にお褒めの言葉をいただき、私にとっては記憶に残るとても面白い仕事でした。逆に、「なんだこれは」と批判されていたら、「大事な護岸を切って何をしているんだ」と言われていたかもしれませんね(笑)。
 あれからもう30年近くになりますが、その間、松川がもっときれいな楽しい空間にならないかな、とずっと思っておりました。整備のレベルから言うと、富岩運河の環水公園はずいぶんグレードが高く、管理や使い方もすごく力を入れておられる。しかし本来、松川の方が県都の中心ですし、市民も親しみを持っていますので、運河以上の高いレベルの整備や管理が求められていると思います。
 現時点でも松川は素晴らしい川で、ここを散策する人もたくさんおられるんですけど、もうひとつグレードアップした整備と管理ができれば、全国でも例のない、非常にいい河川空間になるでしょうね。また、松川は桜の名所ですが、皆さんご存知の通り、桜も未来永劫ずっとこの姿ではありません。特にソメイヨシノは寿命が短く、もうだいぶ老木になってきていて、可哀想ですが、この桜を次にどうするのか、考える時期に来ていると思います。
 こうしてみると、もう1回松川に光を当て、再整備を将来どうしていくのか、県と市が一緒になって可能性を探っていけたらと思っています。

▼松川の「親水のにわ」でお花見を楽しむ人々。遊覧船からも変化に富んだ美しい光景が楽しめる。

中村 「親水のにわ」ができた当時、ただの広場だった城址公園に、あのような川と親しめる場所ができたということは、本当に画期的なことでしたよね。松川は、上流にゼロカット水門があって、管理できる川ですので、いろんな活用法が考えられますね。

畠山 今、お話のあった「親水のにわ」やテラスは、非常にうまく考えられているなと思います。子供の頃、城址公園で遊んでいましたが、記憶にあるのはSLの機関車ぐらい。気づいたら、「親水のにわ」ができていて、きれいになったなと思っていましたが、いろんな工夫や苦労があったことを、今回初めて知りました。
 松川のように掘り込みの川は、それ以上崩れないように工夫すれば、川の水位はこれ以上高くならないので、ある意味、街中の特殊な川なんだろうなと思います。それだけに、工夫の余地があって、グレードアップの伸びしろは大いに秘められていると思います。

中村 この可能性を生かしていくことが大切ですね。川の管理の面ではいかがでしょうか?

美観を保つ仕組みづくりを

佐伯 河川の維持管理の担当として、松川の浚渫や清掃を現場で行っております。堤防の草刈りには年2回、川沿いの歩道の清掃については年3回ですが、予算の面からはこれが精一杯という現実があります。その辺りを、ボランティアのような仕組みがあって年3回プラスαで清掃を行えれば、さらにきれいになり、もっと人が集まるようになると思います。
 また、浚渫も予算が限られていますが、現在、舟橋の前後に泥がたまってきましたので、今年の冬に浚渫を考えております。

中村 アメリカ・サンアントニオでは、川の中と、遊歩道を毎日、早朝から掃除しているんです。美しく清掃されていると、川べりを散歩してみようと思いますよね。 松川の遊歩道を今、歩いてきたのですが、護岸に盛ってある土手が崩れ、石ころと土砂が遊歩道の上を覆っていました。雨が降っても、土手が崩れないようにする必要がありますね。美しさを保つための仕組みを、なんとか作ることができたらいいのですが……。
 ところで、2012(平成24)年度から工事が始まった松川貯留管※ですが、これが完成すると、かなりのグレードアップが期待されますね。

※「松川の水質保全」と「浸水被害の軽減」を目的に計画され、2018(平成30)年5月に完成した。

▼アメリカ・サンアントニオのリバーウォークの設計者・ハグマンは「開発が進めば進むほど、川の自然の特色が保たれ、その価値が高まる」計画を目指した。

沖村 昨年(2014年)の10月に掘削の方は一応完了し、現在はトンネルの内面を仕上げる工事と、既存の下水道官と貯留官をつなぐ、いわゆる導水管の工事をしています。
 松川の水質保全という観点で言えば、2005(平成17)年度より、積極的に下水道事業に取り組み2013(平成25)年度に一応完了しております。松川は雨が降ると、一部未処理の水が出るんですが、その放流回数を半減し、さらに放流する口に細かいスクリーンをつけ、できるだけゴミが出ないようにしています。シミュレーション上は分流式の下水道とほぼ水質が変わらないレベルまで来ています。
 これに加えて、雨水貯留施設を作っていますので、完成すれば、分流式より水質の汚濁量が少ない状態になり、さらに水に親しめるようになります。

中村 川が美しければ、その街に住んでいる人の心も美しい、と。県の土木部長だった嶋倉さんは、松川の水を、昔のように手ですくって飲めるようにしたい、と夢を語っておられましたね。

細部に気を配ったデザインを

京田 実際問題として、週1回の掃除も大変です。松川の沿道の人たちが、自分達の川を大事に使おう、という気持ちで掃除をしていくことが大切ですね。
 松川は両側にはあまり住宅地がなく、城址公園や県庁や市役所があるわけですから、まずは県や市の職員が、定期的に昼休みにでも松川の掃除をするということがあってもいいのかもしれません。
 また、松川べり一帯のグレードをあげるといっても、必ずしもお金をかける、高い材料を使うということではなく、最も大切なのはデザイン。「デザインの〝神〟は細部に宿る」という言葉がありますが、大きな図面には書き表せない細かな所のちょっとした仕上げ、あまりお金はかけなくても、手間ひまはかかりますが、その手間ひまをあまり惜しまずにちゃんとやっていくのが大事かと思います。
 今まで松川の整備に関して、委員会を作って何度もチャレンジしながらうまく進んでいませんが、貯留管と同じ位の投資をすれば、かなりの整備ができます。これが、観光や市民の憩いの場や健康づくりの場、川の美化への関心など、多くのことに波及していくことを考えれば、大変重要な課題です。富山市として、まずはこのようにしたいという声をもっとあげていかなければなりませんね。

中村 1985年頃、全米ナンバーワン人気都市サンアントニオから、街の真ん中を同じように川が流れている縁で姉妹都市の申込みがありました。そんな素晴らしい川があるのに、富山は活かしきれていない。松川はダイヤモンドに例えると、まだ原石のままです。この川から富山市が誕生したという歴史性、この川を見ながら滝廉太郎が育ったという文化性など、この川にふさわしく磨きをかけていかなければなりませんね。 松川の観光PRはどのようになさっていますか?

富山の良さを伝える取り組みを

 北陸新幹線の開業を見越し、県と協力して作成している「富山で休もう。」のポスターで松川の桜をバックにしたものを、2013(平成25)年度に改めて作り直しました。さらに、富山市でアドベンチャー施設に対する修学旅行などの教育旅行について助成事業を行っていますが、2017(平成27)年度から松川遊覧船も助成対象に入れております。
 お隣の金沢に比べて、富山市で特に重要なのが、いかに富山市に着地していただくか、旅行してもらうかということ。富山の良さをどのように伝えていけば良いか、これからの取り組みが大切になる、と思っております。

▼松川に架かる「桜橋」を通る遊覧船。昭和10年に完成したこの橋は、シルエットが美しいリベット打ちの鋼製アーチ橋で、都心部の歴史的景観を示すものとして高く評価されている。

清水 私は新湊に住んでいますが、最近、内川でドラマや映画の撮影がよく行われています。松川は桜も大変美しいですし、ドラマや映画の舞台になれば、とてもPRになるのではと思います。

中村 全国のタウン誌に富山を取材していただく弊誌企画の「水の都とやま取材の旅」も、今年で20回目を迎えました。掲載誌を見て富山に興味を持ち、実際に足を運んで下さった方も多くあり、PRの大切さを痛感しております。
 今後も、県都・富山市の中心部の顔としてふさわしくなるよう、松川の魅力を高めていかねばなりりませんね。本日はありがとうございました。

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