2. 子どもを産み育てたくなる都市
髙栁百合子〈Ｐｒｏｆｉｌｅ〉
元・国土交通省都市局土木技官。20代で市役所に出向し、市民参画型のまちづくりに注力。長女出産後は研究所に勤務しながら博士号（工学）を取得。2018年4月に富山大学に都市デザイン学部が新設されたのを機に、准教授に着任。五福キャンパスで教壇に立ちつつも、娘の学校の先生には全く頭が上がらない。好物は富山湾のお刺身とお寿司。
都市計画や国土計画の分野では、百年の計という言葉があるように、将来のことを考えた上で、今なすべきことを考えるのが仕事なのですが、私たちはほとんどの場合、自分自身の身近な狭い範囲の短期的な問題を解決することに、多くの時間を費やしています。前回お話ししたように、子どもは親の腕の中から、少しずつ認識する範囲を広げて成長していきます。同じように、人間の視野というものは、直面している問題の緊急性に依存して、まず直面する問題を解決してから、次に、それよりも広い範囲、
