いたち川沿いの大泉道標、大欅・馬頭観音像(富山市)

富山の町からの立山登拝の道

 


 上の写真は、地鉄不二越上滝線「大泉駅」近くのいたち川に架かる見龍橋そば。江戸時代、中央の空き地に大泉茶屋があり、富山の町から立山登拝に向かう人が一休みしていたという。その茶屋の脇には、尾張名古屋の杉屋佐太郎が、立山禅定で死去した父・佐助の供養のために天保11年(1840年)に建てた道標があり、現在も残っている。
 そこから左手のいたち川沿いの道を進むと、いたち川を渡る末広橋があり、渡ったたもとに大きな欅の木と三面八臂(顔が3つ、腕が8つ)の馬頭観音像がある。「慶応元年丑夷則建立之 世話人 山室江口村伝助 文右衛門 太田本江村 長次郎 石工石屋村 牧喜右衛門」の銘がある。馬頭観音像は、海や陸の交通安全の守護仏として崇敬された。頭の毛の中の馬は白馬となって駆けて行き、海や陸での受難者を救うと信じられた。戦前、成人儀礼の立山登山に際し、ここまで家族が送り迎えをする習わしがあった。この道は本江湯道と呼ばれた立山道の一つであり、いたち川は材木や薪木の運搬路であった。
参考/現地解説(山室郷土史より)、会報「商工とやま」平成14年5月号の廣瀬誠氏の解説、他



【追加写真】

頭の毛の中の馬

 

 

 

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