城址公園とセットで松川を美しく整備しよう

富山市役所で長年まちづくりに携わってきた京田さんは、世界遺産になるような松川の再整備を提案する。

 

ちょうどよい川幅で都市の中心部を流れる松川

 私も全国、いろいろな所を見ていますが、松川のように大きすぎず、小さすぎず、本当にいい感じの川幅で都市の中心部を流れている川はないですね。雨水を海まで運ぶという役割だけから言うと、松川はあってもなくてもよさそうな川、ということになるんでしょうけど、全然違う切り口で、松川は富山の街の中の財産で、すごくいい景色も作っていて、そのことが観光客を呼ぶことにもなるし、市民・県民の拠り所としての価値もある、ということに気づくことが大切です。

 

城址公園北側の再整備とセットで松川の整備を考える

 平成15年(2003年)頃、国が「まちづくり交付金※」という制度を作り、大事業ができるチャンスでした。私は、都市再生整備課にいて、各課から要望を聞いてとりまとめの仕事をしていました。公園緑地課からは城址公園の再整備をしたいという希望を聞き、リストにあげていました。ところが、城址公園とセットで松川の整備をしたらどうか、という発想は残念ながらなかったんですね。もし、そのことが意識にあってリストにあげていれば、間違いなく松川の整備は進んでいたでしょう。

 


▲京田さんが若い頃に設計された、松川の「親水のにわ」

 

300年後、400年後に世界遺産になるようなものを

 建物ならば、100年程したら壊されてしまいますが、川をきれいに整備したら、ずっと永久に残ります。何百年の歴史というと長そうですが、人一人80年、100年ですから、そこから見たら何人分かですよ。人一人の100年なんてちっぽけな短い時間ですが、300年、400年後に世界遺産になるようなものを目指してやるべきですね。その時は、誰も生きていないですが、それぐらいの夢をもってね。今だけの〝作ってきれいになったね〟で終わるようなまちづくりではなくてね。

 

超党派で、もう一度、サンアントニオへ!

 2003年に、中村さん(注/発行人の中村孝一)の案内で県議、市議、元行政マンが総勢19名でサンアントニオを視察されましたが、今、市議会議員もだいぶん変わられてしまったので、もう1回仕切り直しで、議員さんたちにサンアントニオを見てもらって、〝アメリカにこんなすごいところがある、富山もやったらできるね!〟というふうになったらいいですね。

 


▲アメリカ・テキサス州のサンアントニオ・リバーウォーク

 

 

 

城址公園は、何もイベントをしていなくても、“散歩がてら歩いたら気持ちよかったわ”というふうになるのが理想だと思います

 

京田 憲明(きょうだ・のりあき)さん
昭和31年(1956年)2月14日、富山市生まれ。明治大学農学部卒(造園学)。昭和54年、富山市入庁。農林水産部次長、都市整備部長などを経て、退職。現在、㈱富山市民プラザ 代表取締役社長。

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