14★宇宙戦争


宇宙戦争
H.G.ウェルズ著・中村 融・訳
創元SF文庫

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 今年は惑星の当たり年。夏から秋にかけて一番のおススメは火星です。そこで今回は「火星人が地球に攻めてきた!」SF小説を紹介します。作者は「SFの父」と呼ばれるH.G.ウェルズ。今から120年前に刊行、ベストセラーとなりました。日本でも、創元SF文庫のほか偕成社文庫や角川文庫などからも刊行されています。また、これまで何度となくドラマや映画になっています(2005年スピルバーグ監督の「宇宙戦争」をご覧になった方もいらっしゃるでしょう)。1938年、この小説を基にしたラジオドラマがアメリカで放送された際には、本当に火星人が侵略してきたと信じた人々がパニックになりました。中には、風車や給水塔を火星人の戦闘機械と勘違いして発砲した人や心臓発作を起こして病院に運ばれた人、ドラマだと知ってラジオ局に怒鳴り込んだ人もいたそうです。1944年にはチリ、1949年にはエクアドルでも同様の騒ぎが起こり、エクアドルでは15人以上の死者が出たほどでした。
 ところで、みなさんは火星人というとどのような姿を想像しますか? 光る目をした緑色の小人のような姿でしょうか? あるいは大きな頭のタコのような姿? この「タコ型火星人」の姿、実はウェルズがダーウィンの進化論に基づいて想像したものなのです。もともと人間のような姿をしていた生物が、脳が高度に発達し、手以外の器官が退化した結果、タコ型になったと、ウェルズは考えたようです。火星探査が進んだ現在では火星に生物は確認されていません。でも、広い宇宙のどこかに、ウェルズが想像したような「タコ型宇宙人」がいるかもしれませんね。
 火星と地球は2年2カ月周期で接近しますが、今夏は、2003年夏以来15年ぶりの好条件で大接近となります。オレンジ色に輝く火星の姿は街の中でも目を引くことでしょう。また、火星の表面にはさまざまな模様がありますが、普段は大きな望遠鏡を使ってもなかなか見られません。大接近する今年は火星の模様を見る絶好のチャンスですよ。

 

 


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