布市藩があった場所(富山市)
いにしえの布市は、野々市や布ヶ市と称したといわれる。富山城下のなかった時代、南の熊野川筋と北のいたち川など常願寺川の諸分流筋とをつなぐ物資の集散地であり、市が立ち、政治の要の町であったという。室町幕府管領・細川氏が領地「太田保」を支配する拠点でもあった。
戦国時代、関東管領・上杉謙信が当地を支配した。その死後に侵攻した尾張の織田信長勢は月岡野で上杉勢を破り、やがて家臣佐々成政の支配下に入った。
次に、徳川家康が前田氏牽制のために、慶長5(1600)年に布市藩1万石に土方雄久を入部させ陀羅尼寺村で支配させた。しかし土方は能登に移された。万治3(1660)年に布市は富山藩領とされた。布市に所在した多くの社寺は富山町に移ったという。
参考/「布市の略史」の石碑