・ グッドラックとやま 2026街づくりキャンペーン ・松川を花と緑、水と文化の街 富山のシンボルに!

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松川を花と緑、水と文化の街 富山のシンボルに!
「グッドラックとやま」1990(平成2)年11月号座談会より再編集
富山市中心部に”水の都とやま”のシンボル空間を創ろう”との大きな理想を掲げ、1988(昭和63)年4月に運航を開始した松川遊覧船。2年後の2028(令和10)年には40年目を迎えるが、大きな節目を前にオープン当初の座談会を振り返り、課題を整理してみたい。
◇座談会出席者
[役職は平成2(1990)年当時]
今村 吉美 さん(富山市観光物産課 課長)
緒方 裕 さん(富山県観光連盟 副会長 ・富山地方鉄道 社長)
横江 敏郎さん(花と緑の銀行 専務理事)
影近 憲一 さん(マリエとやま 常務)
村石 武久 さん(富山市観光協会 事務局長)
北山 直人 さん(北山ナーセリー 社長)
広島 由里 さん(1990年ミス富山)
司会/中村 孝一(グッドラックとやま発行人)
中村 富山県は 「花と緑の日本一」 を目指し、 富山市は「水と緑と文化の街」 というスローガンを掲げています。本日は富山の中心部を流れる松川を、名実共に街のシンボルにするために、皆様からご意見を伺いたいと思います。
年間を通して楽しめる、市民の憩いの場に
緒方 このような観光施設の展開には長期的なコンセプトが不可欠とされていますが、現在はまだそのような議論がなされていないように思います。しかし、グッドラックさんが始められた松川遊覧船は、富山の目玉としての地位を獲得しつつあり、そのご努力にいつも感心しております。
しかしながら、2つの課題があると思います。1つ目は、市民の憩いの場所として活かすこと。工夫は必要ですが、散策ができて飲食と賑わいがあり、市民に活用される場所であることが大切です。
もう1つは、〝水の都とやま〟のシンボルとしての松川という見識を高めること。富山城の歴史的背景や、文化的要素を活かした街づくりが重要です。親水の庭をはじめ、ハード面では逐次整備されていますし、各種イベントも充実してきました。四季折々の松川を城址公園も含めてのエリアで、花と緑の演出をさらに展開していくことが大切だと思います。
そして、基本が川ですから、水をきれいにする努力がまだまだ必要ですね。松川を中心に、特に整備していただけたらと思います。
今村 駅の観光案内所に「小一時間あるんですが、どこへ行けばいいですか?」との間い合せが多いそうですが、この辺りはちょうど小一時間の散策コースです。特に富山は中心部にあまり名所がないので、松川の両岸を花や緑で整備し、年間を通して楽しめるものにしたいと思っております。
北山 植物の観点から申し上げますと、プランターや花壇に無造作にベコニアやパンジーなどを植えると、どの街も同じような感じになってしまうんです。それよりも、自然に近くて強い宿根草を芝生の中に人れ、季節になると咲くようにすれば、作られた街の中にあっても印象的なのではと思います。
自然の川が滔々と流れ、 その両岸には極めて自然に近い花々が、舟が進むにつれて少しずつ変化する、そして、その間に見え隠れする数々の彫刻が文化の香りを漂わす、そんな風景に訪れた人の気持ちがなごむと思うんです。市民にとっても、県外へ行っても誇れる憩いの場所になると思いますね。
▼1987(昭和62)年8月、フランソワーズ・モレシャンさんを迎えて行われた、松川遊覧船の記念試乗会の様子。

河川環境の整備が第一歩
影近 以前、松川遊覧船に乗せていただき、課題が3つあると思いました。まず1つは、遊覧船が川底につかえては全く風情がない。やはり、水に揺られるという感じが大事ですから、浚渫してもう少し深くしてもらいたいです。もう1つは水が非常に汚いということ。せっかくなら松川に神通川のきれいな水をとり入れて、「水が青い」という感じを出せないものかと思います。さらにもう1つは何カ所かで暗渠が放出しており、いかにも泥水をかけられる感じで、非常にまずい。下水施設は見えないようにしてほしいですね。
土手に花を植える前に、まず川の整備が必要だと思います。また、遊覧船と飲食を一緒に行うことで、一帯が憩いのゾーンになるのではないでしょうか。
中村 先日、松川遊覧船を試乗したアグネス・チャンさんから、「素晴らしい!」と絶賛していただきましたが、「おでんが食べられたら最高!」との一言もありました。やはり遊覧船の中で、飲食もできるといいんでしょうね。
松川べりの彫刻が文化の香りをプラス
村石 確かに松川は、富山市内の観光の目玉になってきていると思います。特に〝水と緑のプロムナード〟として彫刻公園が完成してからは、四季の景観に文化性が加わり、さらに充実してきました。
28基の作品はもとより、 各テーマを刻んだ黒みかげ石の文字も、県内の著名書家の方々の手によるもので、彫刻と書の両面から格調高い文化の香りを感じていただけると思います。また、今年から観光バスコースの最終地点に松川べりを設定する等、さらに盛り上げようと考えております。
中村 遊覧船の試乗会の時に、 フランソワーズ・モレシャンさんが舟の中から彫刻を見つけ、 「とっても素敵ですね」と感動しておられました。緑の木陰に彫刻がちょうどマッチしたんでしょうね。
横江 やはり観光面や市民の心のよりどころという面でも、四季折々の花が斜面を彩るといいでしょうね。春は水仙、秋なら彼岸花などが、いかにも自然的でいいですね。
広島 市内に勤めているので松川沿いはよく歩きますが、橋の上から見る桜並木がすごく締麗ですね。一市民としての意見ですが、お花見の時、川辺りの明るさに比べて城祉公園には灯りが少なく、暗くて困りました。その時だけでも、臨時の街灯を設けられないものでしょうか。
〝ミス富山〟として、市内を回って勉強する機会がありましたが、初めて「常夜燈」の存在を知りました。歴史的価値のあるものなので、もっとPRすればいいですね。また城址公園については、花壇の手入れがきちんとされていたらもっと素敵なのにと残念でした。
滝廉太郎とのつながりをアピールし、文化性を
中村 人間には五感が備わっているので、街の風格として、目に見えなくても伝わってくるものがあると思うんです。例えば、水郷で知られる福岡の柳川は、北原白秋の生誕地ということで大々的にPRしています。富山も日本を代表する作曲家・滝廉太郎がこの地に住み、『荒城の月』をはじめとする数々の名曲を作曲する際、大きな影響を受けたということを、もっと市民が誇りにして良いと思います。文化の香り高い街づくりを今後、観光面にもっと取り入れていくべきと思います。
影近 「荒城の月」の故郷、というだけで文化の街のイメージがぐーんと出てきますからね。
緒方 私は、県の「文化の県づくり懇話会」の座長を務めておりますが、その席で利賀村の鈴木忠志※さんが、開口一番、「文化とは消費が伴うものだから、金を使わなければ文化は育たない。富山の人は貯める方は日本一だが、使う話は全然しない」とおっしゃったのが今でも印象に残っています。
ハード面的な文化の香りという意味では、お金をかけるという気構えでなければいけないと思います。精神面では、滝廉太郎に着眼されたのは大変よいと思いますので、市民が理解できるよう大いにPRする必要がありますね。
また、城址公園内に曲水を取り人れ、さらに富山市全体としても曲水的感覚を取り入れるとよいと思います。ニュージーランドのクライストチャーチという街にエイボン川という水量豊富な川がうねうねと流れているんです。水の流れはゆるやかで河辺は芝草が敷きつめられ、柳などの巨木が枝葉をふさふささせている。川面には鳥が浮かび、恋人たちや若い夫婦がベンチに腰かけ語らっている。こんな風景が富山でも見られたら素晴らしいですね。
そのためには、松川だけではなく、いたち川、富岩運河、岩瀬に致る所まで伸ばし、神通川から水を取り入れ、水流の調節が必要ですね。川遊びができて、本当に市民が憩える、そういう街づくりを目指したらよいと思います。
今村 現在、松川に架かる橋の整備を計画しています。歴史的背景や地名にちなんだ橋の名前を付けたりすると、市民の方々により親しまれるのではと思います。
村石 実際、富山の見所を聞かれても「富山は見るところがないですね」と答える市民がとても多いんです。私たち観光に携わる者は、もっともっとPRしていく必要があると思っています。
※1976年に活動拠点を東京から富山県利賀村に移し、劇団SCOTを主宰する、日本を代表する演出家。
▼1988(昭和63)年に運航を開始した松川遊覧船。以来、「松川べり一帯を”水の都とやま”のシンボル空間にしよう!」との壮大な目標の基盤として、毎年運航している。

富山独自の文化を創造する意気込みで
影近 文化について私はいつも思うのですが、文化というのは作ればいいのであり、人を羨しがる必要はないんです。〝富山は売薬〟と言いますが、原料はほとんど地元で採れませんし、歴史の中で伝統産業に成長していったことを考えれば、今からでも富山の文化を作り出せば良いのではと思います。利賀村の演劇も作り出したものですし……。とにかく他県がやっていないものをやれば良いのではというのが、私の結論です。
中村 花や緑も文化の一つだと思いますが、いかがでしょうか。
花と緑で人が集うステージ作りを
北山 普通、園芸文化といいますが、花と緑の役割は人が集うためのステージ作りだと思うんです。いいステージの中で人々が色々な文化を作っていくんですね。特に富山は戦後、 碁盤目状に整備されており、街全体を公園的に見るならば、その中心を流れる松川を曲水的な存在として考えることは、非常にすばらしいことです。
松川をバックに写真を撮りたいと思うような、いいステージになればいいですね。花や緑はお金だけでなく時間がかかりますから、少しでも早くとりかかる必要があります。具体的にいうと木ですね。川にかぶる様な大きな木というものは、時問をかけて育てるしかないですからね。
中村 最近、多くのテレビ局が〝富山の情緒が味わえる松川の遊覧船〟と競って取材に来ています。県外の人が富山の良い所を発見して持ち返り、それを知った人々がまた富山にやってくるわけです。富山県民は経済優先の傾向が強いようですが、街の魅力というのは機能性だけでなく、遊びの要素や、花や緑が存在してこそ出てくるものだと思います。
▼ニュージーランド・クライストチャーチを流れるエイボン川。

緒方 桜の木が四季折々に活躍し、紅葉の桜、新雪の桜並木もすばらしいものです。また、できるできないは別として、ミニ「舟橋」が実現したら面白いでしょうね。子供たちも「舟橋」 のイメージがわき、いい演出になるでしょう。
村石 色々な施設が整備され、遊歩道もできましたが、やはり松川の水量が少ないのは問題ですね。四季を通じてきれいな水が流れていることが大切です。
今村 松川は貴重な財産ですから、みんなで守っていかなければなりませんね。私共も少しでも多くの方に来てもらうようにしていきたいと思います。
横江 富山のシンボルである松川が、市民の憩いの場所として多様な楽しみ方ができるようになればよいと思います。
北山 滔々と流れる水が文化を育てていきます。周りの自然も、時間をかけて早めに育てるものと、大きなお金でみんなの力でやっていくものを分けて、市民全員が提案していくという環境作りをしていってほしいと思います。
中村 「富山を見てから死ね」と言われる位の街にしたいですね。本日はありがとうございました。























