まず、勉強会から 始めてはどうか

1998年(平成10年)9月号で、当時、建設省(現・国土交通省) 北陸地方整備局 富山工事事務所(現・富山河川国道事務所)所長の内山宏文氏は、サンアントニオ・リバーウォークのように松川べりに美しい街を作りだすためには、まず、勉強会から始めてはどうか、と提言。

内山 宏文さん
建設省(現・国土交通省)北陸地方整備局 富山工事事務所(現・富山河川国道事務所)所長を務めた。

松川の水位一定化のために

 松川の水辺の遊歩道が冠水しないようにする為には、1、下流のいたち川の流下能力を高める(掘り下げる)、2、上流の磯部の水門(神通川への放流を行う水門と松川へ水を取り入れる水門の2つ)をきちんと管理する(夜中の出水に対応するには、自動化の検討も一つ)の2点が考えられます。
 1については、県の方で計画されて順次工事をしておられるそうですので、それを待つことになります。2の放流水門については、自動化をするならば、ゲート動作時に人が近づかないように安全対策を講じる必要があるでしょう。
 松川に流れ込んでいる3本程の小川の影響については、上流の水門で松川に取水する際、それらの水量も考慮すれば対応できるのではないでしょうか。
 そして、いずれにしても松川といたち川の合流点の松川側には水門と堰のような施設が必要になると思います。その役割の一つは、いたち川の水位が低い時に松川の水位を維持すること。二つめは、いたち川の水が上昇した時に、水門で松川へ逆流する水を止めることです。
 以上のことを実行すれば松川の水位が一定化し、冠水して遊歩道がヘドロで汚れるということはなくなるのではないでしょうか。
 大雨の時、下水道の容量オーバーで、松川に下水が入りますが、下水道の整備が進めば改善されるでしょう(2018年3月、2012年〈平成24年〉着工した貯留管がついに完成)。

 

河川公園化とにぎわいづくり

 水位が一定化されると、サンアントニオのように、川べりに花と緑が溢れる美しい街を作りだすことが可能になります。(本当は、神通川を埋め立てて県庁や市役所を建てる時に、〝水の都とやま〟にふさわしいグランドデザインを描けていたらもっと良かったでしょうけどね)
 今からやると大変ですが、やるとしたら第3セクター方式になるでしょう。一番大きな問題は、誰がお金を出すかということです。おそらく何十億、何百億かかるでしょうから、それをすることによって、人も集まり、採算も合うという絵を描いて、やる気のある事業者を見つけなければなりません。税金だけではとても無理です。
 その前にしなければならないことは、富山市のいろんな事業や、駐車場などの周辺環境と整合性のとれた、バランスのある全体的なマスタープランをきちんとつくることです。その中では、10年〜30年ぐらいの計画を立てなければなりません。
 まず、民間の有志が集まり、「松川を考える会」みたいなものをつくって、勉強会から始めてはどうでしょうか。そして、市や県の技術者に来てもらって、技術的に矛盾がないかアドバイスを受け、よくよく研究する必要があります。
 その時に大事なことは、プランで楽しむ、遊ぶ、という余裕を持つことです。また、自由に意見が言える場でなければなりません。
 そして、夢を持っている仲間を増やしていく。そういうことを長いスタンスでやっていかねばなりません。
 そうするうちに、市も効果や実現性を判定して、動き出すでしょう。そして、県なり国に、市の要望として上げていくことになるでしょう。
 サンアントニオの川を生かした街づくりの素晴らしさを市民の皆さんにもわかって頂く為には、まず城址公園などの公有地でモデルを作ってみるのも一つかもしれません。

2000年4月、内山氏の後任に久保田氏が着任。「神通川直線化100周年を記念した行事をされたら」とのアドバイスを受け、「リバーフェスタ2003 川と街づくり国際フォーラム」開催が実現した。

 

“プランを作る時に大事なことは、プランで楽しむ、遊ぶ、という余裕を持つことです

 

 

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