【其ノ百十四】 まだ旅の途中

柳家さん生・・・昭和32年、富山市西町に生まれる。上野鈴本演芸場等、寄席定席に出演のかたわら、都内各所にて勉強会、独演会を精力的に開催、活躍中。
HP▼http://sun-show.net/

 雪の降る中、富山の駅に降り立った。駅前にはのれんのかかった居酒屋や、洋品店が所狭しと立ち並んだ汚れたビルがある。路地を入る入り口には、艶かしい映画の看板がどうだとばかりに幅を利かせている。路地のお店の中からは賑やかな笑い声が聞こえる。行き交う人は道なき雪の道を踏みしめ踏みしめ、言葉を交わすこともなく白い息を吐きながら歩いている。久方ぶりの帰郷にも街は誰も自分に振り向くこともなく、ただただ音を飲み込んだ雪の世界を見せている。変わらぬ街変わらぬ雪が「ここが君のふるさとだよ。これが君の育った街だよ」と、ふるさとを離れた自分に語りかけているようであった。
 そんな雪の中を曇った窓に飾られた路面電車に乗って実家へ向かう。アーケードに守られた商店街には行き交う人が溢れ、着飾った女性が羽子板を手に挨拶を交わす。その交わす言葉を聞いて、ふるさとの優しさを感じる自分がいる。嬉しくなって小さい頃の賑やかな神社への通りを歩き出す…ところで眼が覚めた。そんな懐かしき富山はどこへ行ったのだろう。
 あけましておめでとうございます!
 いやはや、まいどはや


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