【其ノ百七十五】もっとゆっくり
年の初めの寄席は、〝初席〟と言って、新年特別興行があります。年々客席に華やかさが消えている気がする。以前は男性はアンサンブルの着物を着て、女性は晴れ着に日本髪なんて姿が、客席に多く見られて華やいだ雰囲気があった。マスコミ、いや強いてはテレビと言うか、映像ものが多く影響を与えている気がする。
一年の行事と言われる新年をはじめ、バレンタイン、ホワイトディ、桃の節句、こどもの日などなど、急かされるように人形だ、鯉のぼりだ、チョコレートだ、とテレビショッピングに流れてくるのが一つの要因ではないだろうか。それぞれの行事が終わらないうちに次から次と急かされるように画面に出てきては、同じようなものを手を変え品をかえ安く売り出す。ゆっくりと季節の行事を味わう間もなくなっているのではないだろうか。気がつけば、何でもかんでも急かされるように早く早く動いている気がする。
その昔「狭い日本そんなに急いでどこへゆく」と言うコピーがありました。人生も百年時代と言われているのに、どこか急いで生きている気がする。時間を守ることは大切だが、一人一人ゆっくり歩むことを考えてはどうだろう。
いやはや まいどはや