CiC南側から県庁前公園、県庁、松川までを歩行者のための道路に!
国立大学法人 富山大学 副学長(都市政策担当)
中川 大 さん
日本で初めて、税金に全く頼ることなく市民の手で実現したコミュニティバス(醍醐コミュニティバス)のプロデュースをはじめ、各地のバス路線でアドバイザーを務め、利便性向上と収益アップを実現してきた。富山ライトレールにおいても、計画・デザイン・効果計測の各委員として参画した。これからの富山のまちづくりについて聞いた。
「富山駅の駅前広場は、日本で唯一と言ってもいいような設計コンセプトになっているんですよ」と中川さん。
「新幹線、あいの風とやま鉄道の改札口、路面電車、バス、タクシー、乗用車、歩行者、全部フラットになっていて、向かいの街へ行く時もフラットで、フラワーバスケットのようなお花が並んでいます。こんな街が、多くのヨーロッパの街の中で〝いい街だね〟と言われている街です。世界の観光地の特徴は街歩きですので、富山にはまだまだ可能性があると思います」
世界の常識から見れば、富山市役所前の道路は、歩道の幅が今の倍あってもおかしくないそうだ。
「例えば、ドイツのハノーファーの駅前の空間は、ほぼ全部、歩行者道路になっています。富山で言えば、富山駅から県庁ぐらいまで、全部歩行者道路になっているわけです。富山も、CiCの南側にある街のあたりは歩行者のための道路にしてもいいわけで、県庁前公園、県庁、そして松川のところまで、駅からずっと楽しみながら歩けるようにする。そんな街づくりが世界の普通の街づくりになってきています。富山はそれを目指すことができると思います」
松川遊覧船も、大変素晴らしい取り組みという。
「私も琵琶湖疎水の遊覧船を京都市長らと共に進めてきましたが、遊覧船は観光において大きな価値があると思います。昔、富山城と富山港の間を船で行き来したように、下流にも行けるようになったらいいですね」
なかがわ・だい●
1956年(昭和31年)7月16日生まれ。朝日町出身。富山中部高校、京都大学工学部交通土木工学科卒。同大学院工学研究科修士課程交通土木工学専攻修了。1981年、建設省入省。国土庁出向を経て、1985年、京都大学工学部土木工学科 助手。その後、東京工業大学 助手、京都大学助手、同講師、同助教授、オックスフォード大学アカデミックビジターを経て、2007年、京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 教授。2014年、同 交通政策研究ユニット長(兼務)。2017年、富山大学副学長・教授。2020年、同データサイエンス推進センター長(兼務)。京都大学名誉教授。京都府参与(交通基盤整備)、富山市交通政策監、他。 ○尊敬している人…父 「朝日町で昭和40年頃から15年程、町長をしていました」 ○一番大事にしていること…「家族、人とのつながり、前向きな姿勢」 ○うちの女房…「真面目できっちりした性格」 ○お子さん…「娘が2人です」