『親水空間論』
『親水空間論』
日本建築学会 編
技報堂出版 3520円
「親水」の概念が生まれてからこれまでの歴史や、各地の事例を紹介
この本では、「親水」の概念が生まれてからこれまでの歴史や、各地の事例を紹介している。
それによると、「親水」の用語は、1970年の土木工学における発表論文の中で、河川機能における治水・利水機能に次ぐ第3の機能として概念が提示され、その重要性が説かれた。それは、心理的満足度やレクリエーション、景観など河川そのものが元来備えている機能の再確認でもあった。この理念は、1973年、東京都江戸川区でわが国初の「親水」を冠した「古川親水公園」として具体化され、その後、全国各地に普及した。「親水」の概念は、海や湖沼においても用いられるようになり「水のある空間」全般に適用されるようになった。
1985年には、「親水権」が第1回水郷水都全国会議(島根県)で、〝松江宣言〟として発せられた。それは、「都市と水との共存関係こそが、地域社会の基盤である」と地域社会と水環境の関係性が重視され、「水郷・水都の住民は、その固有の権利として水に親しむ、すなわち親水権を持つものであることを確認した」と述べた。
こうした「親水機能」の要件は、①水のある空間および施設、②水の持つ物理的・科学的な諸作用、③人間およびその知覚、④人間の知覚を通じた水(空間)との接触、⑤その結果として、人間への心理的・生理的効果となる、と整理された。
そして、「五感を通じた水との接触により、人間の心理・生理にとって良い効果が得られる」と考える概念定義に基づいて、水のある空間がもたらす効果を積極的にまちづくり、地域づくり、建築デザインに取り込んでいくことで潤いある空間を人々は享受できる、と著者の一人である畔柳昭雄氏は強調する。
なお、わが国初の〝親水公園〟となった古川親水公園は、1982年にナイロビで開催された「国連人間環境会議」で紹介されるなど、国内はもとより世界各国で大きな反響を呼んだという。この本では、鴨川(京都府)、都賀川(兵庫県)、道頓堀(大阪府)など、事例も豊富に紹介されている
























