城址公園を歴史と文化の香り高い日本庭園に!

滝廉太郎生誕140周年記念・街づくりキャンペーン

平成3(1991)年7月号座談会を再編集

 

平成3(1991)年、富山市議会の自民党議員による「富山城址公園を考える会」がスタート。市中心部にある富山城址公園を整備し、全国に誇れる「顔」をつくろうというもので、市議会議員がこの問題について会合を持ったのはこの時が初めてだった。以来、富山市が再整備に着手し、平成27(2015)年には滝のある美しい日本庭園も完成。市内中心部のシンボル空間として、多くの市民や観光客の憩いの場となっている。

 

 

 

司会 本日は富山市議会の皆様と「城址公園を考える」というテーマで、ご意見をお伺いしていきたいと思います。特に今日は、発想の転換を図る上で、松川遊覧船上での座談会を企画いたしました。  先ほど、兵庫県から観光客として松川遊覧船に乗船された大久保さんも交えまして、和やかに進めてまいりたいと思います。

 

松川と城址公園の一体化整備を

力示 私は初めてこの遊覧船に乗りましたけど、日頃何気なく通り過ぎているだけの松川が、こんなにも素晴らしいものだと知って驚きましたね。ぜひ、もっと多くの方に乗っていただきたい気持ちでいっぱいになりました。

島田 同感です。緑豊かな城址公園を、この遊覧船から眺めると遠く460年前に富山城が築城され、戦国時代から明治時代、そして今日に至るまでの先人の歴史を見る思いがしますね。
 これまで富山市には、観光の目玉になるような、「顔」がなかったわけですが、この遊覧船が〝水の都・とやま〟のシンボルになってきていることを実感しました。今改めて、遊覧船と一体化した城址公園の整備をやっていく必要性を痛感しています。そうすれば、必ず全国に誇れる富山の「顔」を創造できると思います。
 やはりそのためには、何か歴史性のあるテーマが求められるでしょうね。観光性、文化性の相競合した市民が心から誇りにできる公園にしたいですね。

力示 それにはやはり発想の転換が必要ですね。以前は、城址公園はイベント広場的に考えて造られていましたが、現在は県内各地にテクノホールや総合体育館等のイベントや運動のできる施設ができましたので、広場としての価値を持たなくなりましたね。
 今の時代には、イベント広場としては狭すぎますし、昨年から植木市ももっと広い稲荷公園に移りましたし、城址公園の担っていた戦後の広場としての役割が終わったということですね。これを機会に、城址公園を市民が求めるように完全に庭園化した方が特色を出せると思います。
 昨年2月の定例議会でも故白山議員から「富山城」にふさわしい日本庭園に改造し〝富山のシンボルに〟という意見が出され、市民の大きな関心を呼びましたね。やはり、文化・観光面を考えた街づくりをしてほしいという、市民の声に応えた新しい時代にあった役割を城址公園に担ってもらう時期が来たと思います。

 

富山市内に観光客を呼び込む

篠川 たしかに富山の顔と言うと立山黒部アルペンルートになってしまって、肝心の玄関口である富山市に見どころがなかったんですね。もっと気軽に観光できる場所が、市内中心部にほしいですね。そうしないと、せっかく富山県に来た人が、富山市内に入ってこないですしね。
 特に最近の人は1カ所では物足りない、あれもこれもという時代ですから、いくつかの見どころ、食べどころをうまく駆使して有機的に開発していく必要がありますね。例えば九州へ行くと、水前寺公園、岡山なら後楽園というふうに観光客が必ず訪れる名所があるわけですね。それが市民に誇りを感じさせているわけです。他県からのお客さんを、市民が誇りを持って案内できる場所がないなんて寂しい限りですよ。

山下 私どもも会合で、県外の人をお招きしても連れて行く場所がなくて困るんです。ちょうど今は元の消防庁舎を今後何にするか、という問題もあり、新市庁舎も完成する(1992年5月完成)ということで、城址公園の整備を考える一番いい時期でしょうね。

司会 そうなんですね。特に都心の中心にある城址公園が今のままでいいのか。グッドラックが実施した市民アンケートによると、84%が城址公園を不満に思っていると言う結果が出ました。日本庭園的にしてほしい、という意見が一番多かったですね。こういう市民の意見を生かして、2000年国体を目標に、市民が誇りにできる富山の「顔」をつくることが今一番求められていると思います。
 県議会でも「後世に残るような日本庭園を創る考えはないか」との佐野議員の質問に、中沖知事は「日本庭園は富山の優れた自然美が生かせるものだと思う。既存の都市公園を含め、どんなものが可能か研究していきたい」と答弁されていますね。

 

“水の都・とやま”を象徴する日本庭園を

五本 金沢には全国に誇れる兼六園があっても遊覧船の浮かぶ松川のような素晴らしい川はないわけですから、松川と城址公園をうまく活用して、〝水の都〟を象徴するような日本庭園を造り上げていけば、大変な宝物を持つことになるでしょう。

山下 私たちも行政視察で他県の公園をよく見ますが、どこもそんなたいしたことはありませんよ。ただ何かしら、人の心を惹き付ける象徴的な場所があるだけで、その他は実に平凡なんですよ。しかし、城址公園の広さから言うと、あまり大掛かりなものは難しいんじゃないですか。

司会 広さが足りないのでは、と思っている人が意外に多いんですが、実に6万6千平方メートルもあるんです。これは日本三大庭園と言われる兼六園をはじめ、岡山の後楽園、水戸の偕楽園の10万平方メートルには及ばないにしても、その他の名園とされる熊本の水前寺公園(6万4千平方メートル)、高松の栗林公園(7万5千平方メートル)、東京小石川の後楽園(6万8千平方メートル)、京都の桂離宮(6万6千平方メートル)などと比べてもほとんど変わらないんですね。どういうテーマでつくってあるか、訪れる人をどれだけ感動させられるか、庭園自体が芸術ですからね。

五本 なるほどね。それなら造り方によっては、日本一の庭園にすることも可能というわけですね。

司会 そうなんです。2年前、滝廉太郎の代表曲『荒城の月』のモデルとなったのは、彼が少年時代に住んでいて影響を受けた富山城だったという説を発表したのですが、新聞でその記事を読まれた神戸の方が富山城を是非見たいと、わざわざ来ていかれたんです。
 後で、その方から手紙が届き、大変感激された様子でしたが、『荒城の月』のモデルとなったと言われる城址であれば、その誕生の歴史を味わえる雰囲気を醸し出していたらもっとよかったと残念がっておられました。「廉太郎が少年時代を過ごした富山城址にたたずむと、あの名曲『荒城の月』誕生の世界が甦ってくる」ような庭園にしたいものです。

島田 そうですか。現在、滝廉太郎のブロンズ像も来春完成予定(現在は松川茶屋内滝廉太郎記念館に設置)で準備が進められているそうですしね。やはり、そういった歴史的・文化的背景がないと、説得力がありませんからね。

力示 また日本人はそういうものを好みますからね。ただ賑わいがあるだけでは、本当に観光客の心はつかめないと思いますよ。遊覧船も〝水の都・とやま〟の歴史と伝統の上に則って誕生したアイデアです。同じように歴史的・文化的に裏付けのある『荒城の月』誕生のロマンを秘めたテーマを持った魅力ある日本庭園を市中心部につくれば、全国から観光客に来ていただけると同時に、街全体の経済への波及効果も絶対に期待できると思いますね。
 ですから、これは富山市が今、取り組まなければならない重要な課題ですね。ただ役人というのは、考え方が固定化していて、なかなか新しいものには取り組まないものです。幸い、中沖知事は全国に知られたアイデアマンで、3つの日本一という考え方を基本に、相当発想の転換を行政に講じておられます。城址公園は、県、市が関わっている場所ですが、我々議会なり、市民なりが盛り立てていけば、必ず実現できると思います。

司会 本当にそうですね。大久保さんは観光客として富山を見られ、またこれまでのお話の中で感じられたことはございますか?

大久保 偶然にも、このような機会に恵まれましたことをとても嬉しく思っております。私は九州佐賀県の生まれでして、ここ富山とはよく似ているんですね。九州7県の中において、佐賀は全国的にも忘れられがちな県で、富山もどちらかというと、新潟、石川に比べるとマイナーな感じがありますよね。そんなところに興味を持ちまして、富山にはもう何度も来ています。五箇山、呉羽山等、ほとんど回りましたね。
 今日は仕事で来たんですが、たまたま時間がありましたので、駅で旅行雑誌を買い、この遊覧船が富山のシンボルとなっていることを知って富山駅からずっと歩いて来たのですが、今日のテーマについて感じましたのは、ここの地理の良さ。駅から歩いてくるのにちょうど良い距離なんです。ですから、公園を観光の起点として、周辺開発をされたら良いですね。

山下 確かにそうですね。我々は普段気づかないところです。城址公園を歴史と文化を生かした『荒城の月園』に造成できたら、富山市は素晴らしい財産を持つことになるでしょうね。と同時に、富山が〝音楽の都〟として風格が出てくるでしょうね。

五本 滝廉太郎のことをもっと広く市民にPRしていきましょう。

司会 「日本人の魂のふるさと」を一目見たいと、『荒城の月園』に世界中から観光客がやってくるようになれば素晴らしいですね。

 

▼2005年にリニューアルした富山城(富山郷土博物館)と、2015年に完成した日本庭園。

▼当時の誌面より”水の都とやま”のシンボルをつくろうと、松川遊覧船上で熱く語り合う議員たち。


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