【其ノ百七十九】みんなちがってみんないい

柳家さん生・・・昭和32年、富山市西町に生まれる。上野鈴本演芸場等、寄席定席に出演のかたわら、都内各所にて勉強会、独演会を精力的に開催、活躍中。

 金子みすゞ展を観てきた。
[ みんなちがってみんないい]
 「私と小鳥と鈴と」の詩の一文です。わずか二十六歳で自死した詩人です。ご存知の方も多いかと思いますが、五百数十種の詩を残している。どれもこれもその時々の、読む人の心響く言葉ばかりです。戦前のまだまだ男尊女卑の時代で、自分の娘を別れた夫に取られたくなく、叔母に育ててもらいたい、しかし親権は男親にしか与えられていない、自らの命と遺書により娘を守ったようです。あまりにも虚しい気持ちを覚えました。長男は家を継ぐ者、女は嫁に行くもの子供を産むもの、としか教えられず言われ続けていた時代の、女性の閉じ込められた感性をみすゞは「詩」というものの中に自分の多感な世界を持ち育てたのだと思うのです。令和の時代となり、夫も育児休暇などと言われ、ジェンダーだの男女差別をこえ「ひと」はいろいろの性別であると言い出しています。しかしわざわざ言っているという事がそもそも差別があるからで、なければそんな言葉は出てこないと思うのです。いつの日か差別という言葉すら消えていく世界が来ることを願うばかりです。
 いやはや まいどはや

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