【其ノ百九十五】故事来歴も良いものだ

柳家さん生・・・昭和32年、富山市西町に生まれる。上野鈴本演芸場等、寄席定席に出演のかたわら、都内各所にて勉強会、独演会を精力的に開催、活躍中。

 「急がば回れ」、昔から(昔っていつ?)よく耳にした謂れや、故事やことわざなど、あまり聞かなくなりました。私の親世代や祖父母世代から、怒ったり怪我したり泣いたり笑ったりした後にはそんな故事来歴を言われて分からないなりにも、どこか得心をした思いがある。思えば近頃の暮らしは高度成長期と言われた時からバブル期を経てはじけて、三十年の低迷期を暮らしても尚ずっと「早くて簡単で便利」というものを追い求めすぎているのではないだろうか。いつの間にか、何事にもハラスメントなんて言葉で糾弾をして追い詰め。追い詰められたものはどうにかして追求を逃れる為に決まりや規則を作り、とにかく自分に責任が及ばないようにする。そんな時代になってきた。
 「老いては子に従え」 「短気はそんき」 「早起きは三文の徳」 「朝茶はその日の難逃れ」、無駄なような言葉でも、年と共に何か引っかかり、じわじわと思い出し効いてくる。本来ある暮らし営みは、一長一短では出来ない。張子のように簡単に崩れるものでなく、揺るぎのない暮らし営みをするには「古きを温ねて新きを知る」どこか手間のかかる心豊かに暮らすことなのかもしれない。
 いやはや まいどはや

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