サンアントニオから学ぶ夢物語 松川・城址公園を中心に夢の神通回廊の実現を

 2003年10月、富山商工会議所の視察団が、中心街活性化のグランドデザインを考えるため、全米ナンバーワンの人気都市、サンアントニオを視察した。
 「ホテルの地下一階に降りると、突然前方に人の賑わいが見え、別世界が開け、不思議の国に迷い込んだような気分になりました。松川と変わらない川の両岸には、カフェテラスが続き、森林公園のような美しい庭園やリバー劇場などもあって、遊覧船に乗ってめぐると、まさにオアシスでした」
 〝アラモ砦〟のほか、見るべきものは何もなかった砂漠のような街が、今日、コンベンション客を含む観光客が年間1400万人も訪れる街となった。なぜ、そのような人気都市になりえたのか。しかも、時代は1930年代の、まさに大恐慌の時代であった。
 「そこに住む人たちが街を愛し、自ら参加して街づくりを考え、行動したからこんなにすばらしい街をつくれたんですね。富山も神通川から誕生した歴史を生かし、川を生かした街づくりを進めるべきです。お城の西側にあった昔のお堀を復活させ、松川と国際会議場とを水路でつなぐと共に、城址公園を拠点に、松川のリバーウォークを作っていくことが大切です」

 

街づくりを行政まかせにする時代は終わった

 夢のリバーウォークは、市民の熱き『思い』と、積極的な『行い』がつくりあげたもの、と強調する。
 「もはや、街づくりを行政まかせにする時代は終わったということです。サンアントニオと富山は歴史性や川が街中を流れているという共通点を持っています。しかし、その川を市民の財産として、生かしきっていないという点が決定的に違います。もったいないですね」

 

市民や企業、関係機関が一緒になって行動を

 サンアントニオのリバーウォークを例えるならば、ピカピカに磨かれ光輝いているダイヤモンドであるが、松川はまだ原石のままなのだ。
 「市民や企業、関係機関が一緒になって行動すれば、『夢のリバーウォーク』を夢に終わらせることなく、実現させることができるはず。市民による富山市価値創造プロジェクトへの一層の参画を期待したいですね」

(2004年4月号掲載のインタビューを再編集しました)

 

 

 

富山商工会議所
元会頭
八嶋 健三さん

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