16★14ひきのおつきみ


14ひきのおつきみ
いわむらかずお・作 童心社

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 今年の夏は例年にないほどの猛暑でしたが、朝晩の涼しさに少しずつ秋を感じられるようになってきました。もうすぐお月見のシーズンを迎えます。日本では、すでに縄文時代には月を見る風習があったといわれます。月は信仰の対象であり、秋に収穫されたサトイモや、キビなどの雑穀で作ったお団子を供えることで、収穫に感謝し、翌年の豊穣を願いました。一方、中秋(旧暦8月15日)に月を愛でる風習は、9世紀頃(平安時代前期)に中国から日本に伝来したとされます。当時は、池に浮かべた舟から水面に映る月を楽しむ、貴族の宴でした。これが江戸時代になると庶民の間にも広まります。そして二つの風習が融合し、旧暦8月15日に、サトイモやお団子などを飾ってその年の収穫を月に感謝するという、現在に続くお月見となりました。
 いわむらかずおさんの絵本「14ひき」シリーズは、ピクニックや雪遊びなど、野ねずみの家族の季節ごとの生活を描いた人気シリーズです。今回紹介する「おつきみ」でも、野ねずみの家族が栗やお団子、ススキを月にお供えし、秋の実りに感謝するシーンが描かれます。この「14ひき」シリーズは、背景の自然描写が正確なのが特徴です。本作品でも、昇ったばかりの月は赤味がかった濃い黄色に描かれ、高度が上がるにつれ月の色が白っぽくなるよう描かれています(これは、昼間の太陽は白っぽく、夕焼けの太陽が赤く見えるのと同じ原理で、地球の大気によるものです)。高度の違いによる月の色を描き分けている絵本は他に見たことがありません。本書を最初に読んだときはひそかに感動してしまいました。
 さて今年の中秋の名月は9月24日。縄文文化や平安貴族、あるいは14ひきの野ねずみの家族に思いをはせながら、お月見を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 


コメントを残す


あわせて読みたい