22★そして、星の輝く夜がくる


そして、星の輝く夜がくる
真山 仁・著 講談社

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 東日本大震災から8年。巨大地震とその直後の津波によって死者・行方不明者あわせて1万8千人以上もの人が犠牲となり、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きました。この未曾有の大災害は「震災文学」という新たなジャンルを生み出しました。「ハゲタカ」シリーズで有名な真山仁氏による本作もそのひとつです。タイトルに「星の輝く夜」とありますが、作中、具体的な星や星座の名前は出てきません。ただ、震災の日の夜、津波に襲われた小学校の屋上に避難した若い教師が星空を見上げるシーンがあります。凍えるほどの寒さの中で見上げる星空の美しさ。実際に震災直後は、夜になると市街地も停電のために暗闇となり、満天の星空が見られたそうです。昨年9月6日に起きた北海道胆振東部地震でも北海道全域で停電となり、SNS上に「街は真っ暗、でも空がすごくきれい」などといった投稿がなされました。東日本大震災でも、北海道胆振東部地震でも、被災時に見上げた星空の美しさに救われたとか、勇気を与えられたという話を聞きます。しかし一方で、たくさんの人が亡くなったことを思い出すので星空を見るのが怖いと言う人がいます。今回ご紹介の本作でも、前出の教師が星空の下で交わした約束に縛られて苦しむ様子が描かれています。これまで私は、星空の美しさや星を見ることの楽しさを多くの人たちに伝えたいと活動してきたので、星を見るのが怖いとか苦しいと感じる人がいることに強い衝撃を受けました。
 富山で生活していると、東日本大震災はすでに遠い過去のことと捉えている人が多いように感じます。また「富山は大地震のような自然災害が少ない」という話を耳にすることがあります。しかし、富山でも約160年前の飛越地震で大きな被害がありました。約46億年の地球の歴史から見れば、つい最近の出来事です。「震災文学」を通して、いつ起きてもおかしくない自然災害への心構えを新たにしてみてはいかがでしょう。


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