23★「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた


「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
橋本幸士・著 講談社

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 星空を見るのは好きでも、宇宙物理の話となると全く分からない…という方は多いのではないでしょうか(私もその一人ですが…)。そんな方にもお薦めの本です。本書では、宇宙物理学者の父が、高校生の娘とその友人に一日10分の講義を一週間行なう形で「宇宙の全てを支配する数式」を解説します。講義の部分は小説仕立てで、父は関西弁、娘たちは標準語で会話する中で、娘たちが宇宙物理に魅せられていく様子が、宇宙物理=難解という先入観を和らげてくれます。各講義の章末には内容を深く掘り下げた解説がありますが、解説を飛ばして講義だけでも読めるようになっています。取り扱う内容は大学院の物理専攻レベルの難しいもの。しかし、宇宙物理に苦手意識を持つ読者でも興味が持てるような構成です。正直なところ、解説の部分は難しすぎて、全ては理解できませんでした。それでも講義の面白さにつられて読み終えた後には、この数式のことが少しは分かったような気がしました。ちなみに「宇宙のすべてを支配する数式」には、ノーベル賞級の科学者たちのこれまでの知見が、各項に表現されています。しかし、近年の観測で「暗黒物質」の存在が明らかになり、宇宙のすべてをこの数式で表現するには不完全であることもわかってきています。観測結果を完全に表現できる新しい項を世界中の宇宙物理学者が模索しているとのことです。
 さて、今年2月に「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」への着陸に成功しました。パネルの端から端までの長さが約6mほどの大きさの「はやぶさ2」を、約3億kmも離れた「リュウグウ(直径約900m)」に着陸させるミッション。そのための膨大な計算は想像の域を超えるものでしょう。ひとことで「宇宙」と言っても、「宇宙のすべてを支配する数式」をより完全に近づけようと奮闘する人がいたり、「はやぶさ2」のミッションに尽力する人がいたり、ただ星空を見上げて楽しむ人がいたり。宇宙にはいろいろなアプローチの方法がありますね。


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