29★「日本の星名事典」


日本の星名事典
北尾浩一・著
原書房

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 1969年7月に人類が月面に降り立ってから今年で50年。アポロ11号の月面着陸を鮮明に覚えていらっしゃる方も多いでしょう。月面に降り立った人間は、現在のところ6回のアポロ計画による12人だけ。1972年にアポロ17号が月面を離れて以来、月に行った人間はいません。
 現実世界ではまだまだ夢のような月旅行ですが、小説や絵本、映画、アニメといった空想世界では、古今東西たくさんの人が(時には動物たちも)月を旅しています。また、月の世界の住人や生物が登場するものもたくさんあります。今回ご紹介の絵本では、宇宙船に乗って子供たちが月へ遠足に行き、帰りの宇宙船に乗り遅れて月面にひとり取り残された子供が月の生物と出会います。子供は宇宙服のヘルメットをかぶっていて、その表情は分かりません。また、文章が少なく、一文字も書かれていないページすらあります。しかしその分、想像が膨らみます。子供と月の生物たちとのやりとりはとてもユーモラス。見かけも違い言葉も通じない月の生物と出会っても普通にやり取りする子供の姿は、偏見なく相手と心を通わせることの素晴らしさを教えてくれます。とても奥の深い絵本だと感じました。最近、アメリカ航空宇宙局が2024年までに有人月面着陸を目指すと発表しました。また、民間企業による月旅行も計画されています。人類が再び月へ行く日もそう遠くはないでしょう。ただ、この絵本のように、宇宙船に乗って誰もが気軽に月旅行を楽しむようになるには、もうしばらく時間がかかりそうですね。
 さて、今年の中秋の名月は9月13日です。ススキやお団子、サトイモなどを飾って、お月見を楽しんでみてはいかがでしょう。月は明るいので、どこでも誰でも、簡単に見ることができますね。50年前のアポロ11号の偉業を称えたり、いつの日か月旅行ができることを夢見たり。月を見て思うことは人それぞれ。お月見をしながら、みなさんはどんなことを思うでしょうか?


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