3★たなばた


たなばた
君島久子・再話 初山滋・絵
福音館書店

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 七月七日は七夕です。富山県には、戸出(高岡市)、舟見(入善町)、福岡(南砺市)、高岡、尾山(黒部市)、上村木(魚津市)など、それぞれの地域で特色ある七夕祭りが多いですね。商業主義のお祭りではなく、地域の人たちの努力によって七夕祭りが大切に守られているように感じます。
 七夕といえば、天の川をはさんだ織女(織姫)と牽牛(彦星)が年に一度、七月七日の夜だけ会えるという悲しいお話がありますが、大きく二つのタイプに分けられます。ひとつは、働き者だった織女と牽牛が結婚すると遊び暮らすようになったために天帝の怒りを買い、天の川の両岸に引き離され、一年に一度だけ会うことを許されたというお話です。七夕といって思い浮かべるのはこちらでしょう。もうひとつは、天から地上に降りてきた織女が牽牛と結婚したけれど、織女が天に連れ戻されてしまい、牽牛が追いかけていくというお話です。「天女の羽衣」にも似たお話で、多種多様に形を変えて中国や日本各地に伝わっています。七夕のお話に二つのタイプがあるのは、伝承の違いによるようです。前者は文章によって、後者は口承によって伝えられたという違いです。そのため後者のお話には多くのバリエーションが生まれたのでしょう。今回紹介の絵本は後者のお話です。君島久子さんは中国の伝承や故事を丹念に研究し、再話されました。
 お話の後は七夕の星を探してみましょう。七夕の頃の、夜9時頃、東の空に見える一番明るい星が織姫星、東に向かって織姫星から右下に見える明るい星が彦星です。でも七夕の頃は富山では梅雨の時期で、星は見られないかもしれませんね。梅雨が明けた7月下旬から8月上旬には、夜9時頃に織姫星が頭の真上に見えるので、探しやすいかと思います。
 7月7日の夜、本当に織姫星と彦星は出会えるでしょうか? 織姫星はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイルという星です。ベガとアルタイルの間の距離は約16光年。光の速さ(秒速30万km)で進んでも16年かかる距離です。ロマンがなくなってしまいました…

 

 


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