30★「本当の夜をさがして」
本当の夜をさがして
ポール・ボガード・著
上原直子・訳 白揚社
◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。
光害(ひかりがい)という言葉をご存知ですか。ごく簡単に言うと、無駄な、あるいは過剰な光によって引き起こされる公害のことです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、欧米では19世紀の終わりにはすでに光害が問題視され始めています。日本でも1924年、光害を理由に東京天文台(現在の国立天文台)が麻布から三鷹に移転しました。雲も月明かりもないのに街の中であまり星が見えないのは、この光害の影響です。このように書くと、光害があっても星が見えにくくなるだけじゃないかと思われるかもしれません。私も15年ほど前に「光害だと言って、一部の人の趣味のために何で明かりを消さないといけないんだ?街灯があるから夜でも安心して外を歩けるし、お店の営業効果もあがる」と言われたことがあります。その時は不勉強で何も言えませんでしたが、当時、本書と出会っていたなら光害についてきちんと議論できていたと思います。本書では光害による悪影響―