5★人はなぜ星を見上げるのか


宇宙のふしぎ なぜ? どうして?
宮本英昭・監修 高橋書店

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 星空観察会などで星座解説をすると、まれに「星の名前とか覚えて何になるの?」などと言われることがあります。そんな時、今までは「何の役にも立ちませんが、星はきれいだし、見ている星のことが分かったら嬉しいから」と答えていました。しかし、私が一番伝えたいことはそのようなことではなく、でもそれがどのようなことなのかを明確に言葉にできず、長い間モヤモヤとした気持ちを抱えていました。その答えのヒントがこの本にあったのです。
 筆者の高橋真理子さんは、1997年から2013年まで山梨県立科学館でプラネタリウムの番組作成やワークショップなどを行い、現在は独立し「宙先案内人」として活動されています。高橋さんのさまざまな活動 ― たとえば、視覚障害者に星空を体験してもらうプラネタリウム。太平洋戦争時に爆撃機を敵地に導く目印となった織姫星の物語。東日本大震災の日の星空。長期入院患者のための院内プラネタリウム投影プロジェクト ―はまさに「星で人と人をつなぎ」「星と人をつなぐ」仕事。この本を読んで、私も自分なりに、星と一人でも多くの人をつないで生きたいと思いました。
 季節は夏から秋へとゆっくり移り変わり、夕暮れが少しずつ早くなってきました。宵の南の空で、土星が見頃を迎えています。土星の環は毎年見え方が違うことをご存知ですか? 土星の環は、幅が数万kmもあるのに対し、厚さはせいぜい1km。そのため環を斜め上(または下)から見ると環が幅広く見えますが、真横から見ると環がほとんど見えなくなります。地球から見て、土星の角度は15年周期で変化しており、今年はもっとも角度が大きくなるために、環が幅広く見えるのです! イラストで描かれたりするような一般的な土星のイメージとはだいぶ異なりますよ。天文台や各地で開催される観察会に足を運び、望遠鏡で土星の姿をご覧になってはいかがでしょうか。

 

 


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