7★クリスマスってなあに


クリスマスってなあに
ディック=ブルーナ著
ふなさきやすこ・訳 講談社

 

中林みぎわ〈Profile〉

◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。

 街中がクリスマス一色に染まる季節になりました。12月25日はクリスマス。子供たちはサンタさんがプレゼントを持ってきてくれるのを待っているかもしれませんが、クリスマスは「イエス・キリストの誕生をお祝いする日」。では、イエスが生まれたときの様子はどんな感じだったのでしょう?「ミッフィー」の生みの親、ディック=ブルーナがやさしく教えてくれます。ベツレヘムの小さな馬小屋でイエスが生まれたとき、今まで見たこともない大きな明るい星があらわれたとされています。これを「ベツレヘムの星」といいます。イエスが生まれたことを天使から告げられた羊飼いたちや、イエスに宝物を捧げるために旅をする学者たちは、この「ベツレヘムの星」に導かれてイエスのもとを訪れます。

 では、「ベツレヘムの星」とはどんな星だったのでしょう?いくつもの説 ―たとえば、明るい二つの惑星がひとつの星に見えるくらいまで近づいた、明るい彗星があらわれた、超新星があらわれた、など ― がありますが、まだ正解は出ていません。実は、イエスの誕生日(クリスマス)が12月25日と定められたのは西暦325年になってからのこと。イエスが生まれた日の記録がなく、また初期のキリスト教ではクリスマスを祝う習慣がなかったのです。そこで、当時のキリスト教教会の代表者が集まる会議で、キリスト教より前に広く信仰されていた太陽神の誕生日をクリスマスと定めたとされます。現在は、過去の文献を調べたりシミュレートすることで当時の天文現象を知ることができますが、イエスの本当の誕生日が分からないため、「ベツレヘムの星」の正体も不明なままなのです。
 現在に話を戻して… クリスマスツリーの一番上には、ひときわ大きな星が飾られますね。この星が「ベツレヘムの星」をあらわしています。星空にも目を向けてみましょう。夜明け前の南東の空で、木星と火星が並んでいます。今の時期、火星はあまり明るくありませんし、二つの惑星がひとつに見えるほどには近づいていませんが…「ベツレヘムの星」に思いをはせながら二つの惑星を眺めてみてはいかがでしょうか。

 

 

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