〜 21世紀の夢 〜 松川ルネッサンス

創刊40周年記念企画
シリーズ 〜グッドラック40年の軌跡〜 ④

対談○嶋倉 幸夫 氏
(林建設工業株式会社代表取締役社長・元富山県土木部長)
※2001年当時

インタビュアー/中村 孝一 (月刊グッドラックとやま発行人)
(2001年1月号より)

 21世紀を迎えたばかりの新年号では、神通川の名残を残す松川の歴史を生かしたオンリーワンの街づくりについて、嶋倉幸夫氏と夢を語り合った。こうした対話の積み重ねが、2017年2月、“水の都とやま”推進協議会の設立につながった。

 

〝水の都〟としての歴史を生かす

中村 いよいよ21世紀ですが、富山の未来について夢のある話でスタートを切りましょう。

嶋倉 富山は神通川によって誕生した街です。そうした〝水の都〟としての歴史を街づくりにいかに生かすか。今後の富山の発展を左右する課題ですね。

中村 県庁、県民会館、市役所も神通川を埋め立てた上に建っているわけですね。ベニスが潟を埋め立て、その上に街をつくったのと似ていますね。

嶋倉 そういう〝水の都〟としての特徴を生かすことですね。基本的には、神通川によって生まれた松川、いたち川、富岩運河を一体として考えることが大切ですね。それとね、やっぱり桜だけの松川であってはもったいない。確かに桜の時は、県民も誇りに思ってたくさん見に来てくれますが、1週間程で終わりますからね。

中村 川べりをちょっと歩いてみようか、というふうに作られていないですからね。松川は〝水の都・富山〟の曲水なんですから、もっと自然の特色を保つと共に、商業的雰囲気もほしいですね。

嶋倉 素材があるのにもったいないね。だから、立山や黒部峡谷に年間100万人を超える人が来ても、皆、富山市を素通りしてしまう。

中村 素通りですね。ホテルも客室が埋まらないし、土産も売れない。

嶋倉 やっぱり、富山市の目玉〝松川を再生〟して、市民や観光客が集まるようにしないと。松川に魅力があれば、市内のホテルに滞在して、立山や黒部峡谷に行ってこようか、となる。

中村 富山が観光の拠点になるには、中心部に残された松川という、大変な財産を生かせるかどうかにかかっているんですね。

嶋倉 世界には都心部の川を開発して、街づくりを成功させた例があるそうですね。

中村 アメリカはテキサスのサンアントニオ。この街は松川と同じぐらいの、川幅10メートル程の暴れ川を治めて、川を中心に街をつくっちゃった。もちろん、洪水対策をほどこして。川べり(リバーフロント)には美しい自然とともに、カフェやレストラン、ショップ、ホテルやマンションなどが建ち並び、リバー劇場ではショーを楽しむことができるんです。

嶋倉 すごいですね。まさに川の街といったところですか。

中村 そう。この川を整備し、街の顔にしようと提案した、建築デザイン家のロバート・ハグマンは「アメリカのベニス」として開発することを夢見たようです。彼は川には本来ロマンチックな魅力があると信じていたんですね。

嶋倉 夢のある話ですね。

中村 ハグマンは次のように言っています。「最高潮は、ベニスのゴンドラをスペイン風にデザインしたボートで、美しい河畔にいる見物人たちを喜ばせることになるでしょう」と。実際、遊覧船はサンアントニオのシンボルになっていますね。

嶋倉 サンアントニオには年間どれぐらいの人が訪れるんですか?

中村 1,400万人だそうです。レーガン時代にアメリカナンバーワンの人気都市に選ばれ、コンベンション都市として大成功した。全国大会や会議の予約は、15年先までふさがっているそうです。

嶋倉 すごいですね。富山のホテルなんかから見たら、うらやましい限りだね。平成13年6月24日から、サンアントニオでロータリークラブの世界大会が開かれるんだけど、行ってみたくなりましたね。

中村 「百聞は一見にしかず」ですよ。ぜひ、見て来て下さい。

嶋倉 ロータリークラブの世界大会を開ける都市というだけですごい。世界の厳しい目に選ばれたわけですからね。都市景観とか、宿泊施設とかね。川を中心にしたユニークな街として人気が高いのでしょうね。

中村 1968年には川を中心に世界博もやっています。

嶋倉 やっぱりね。

中村 川べりには世界的に有名なホテルがいくつも建っていますしね。ヒルトン、ハイアット、マリオット、ホリデイ・インなど、市内のホテルの客室は全部で25,000室。コンベンションセンターやリバーセンターといった大型ショッピングセンターも川べりにあるんです。
 富山で言うと、松川の横に大和百貨店があって、1階は道路側から、地階は川からアクセスできるといったふうに。

 

 

二十一世紀は松川ルネッサンス

嶋倉 やあ、グッドラックでサンアントニオの写真を見ると、見に行きたくなりますね。また、見て来た人がその気になる。富山市民が全部その気になってくれれば、そこから加速度がつきますよ。その時にはあなたの言う「河川再生事業」ですよ。
 まさに、川が生き返るんだから、〝水の都とやま・松川〟のルネッサンスですな。

中村 松川を中心に「東洋のベニス」をつくる! 世界に一つしかないユニークな「水の都・富山」をつくりましょう。

嶋倉 そう、街の中心に拠点になるものを。問題はたくさんあっても、全部、物理的には解決するもんばっかりです。時間とお金とで。だから、その市民コンセンサスを我が街の誇りにする。「水の都ルネッサンス」ね!

中村 サンアントニオの場合も最初の構想から10年かかって着工。さらに川の街として本当に機能を発揮させるために、30年かけて再投資をしたんですね。

嶋倉 グッドラックでは、松川を常に取り上げてきているけど、実現するまでこれからも繰り返し繰り返し取り上げてほしいね。
 バカじゃないかと言われとってもいいんですよ。物事は反対されればされるほど、面白くなる。ちっちゃい火種がやがて大きくなっていけばいいんですから。市民はこうした写真を見なきゃわかりませんから。ま、富山の活性化は松川にあり、ですな。

中村 そう、絶対そうですね。街の中心ですから、美しい自然と商業的雰囲気がよみがえれば、富山が生き返りますよ。

嶋倉 〝 松川ルネッサンス 〟は富山の再生につながる、と。そういうキャッチフレーズで、色んな人に集まってもらって、「夢を語る会」を作ったらどうでしょう。

中村 「夢を語る会」、いいですね。「松川を愛する会」もありますので、両方で大きな輪に広げていきたいですね。

嶋倉 ぜひ、いいものに仕上げていきましょう。仲間をたくさん作ること。松川を愛する仲間を。
 今ね、「富山の河川を語る会」というのができとるんで、あそこにも語りかけましょう。どうですか、そういったところであなたが1回、講演するとか。

中村 いいですね。夢を語り合える仲間を増やしましょう。

嶋倉 そう。一人一人味方に付けていくと、気がつくと…すごい人数になっている。あ、そうだ。西ロータリークラブにも話しておきましょう。

中村 〝松川ルネッサンス〟ですね。21世紀は、環境の世紀と言われます。みんなの力を一つに合わせ、松川の「夢を現実に」して、〝水の都とやま〟のシンボルにしたいですね。

 


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