富山市議会議員と語る「夢の神通回廊(リバーウォーク)」をめざして
2008 新春座談会
旧・富山市立図書館
大正元年12月に今の国際会議場あたりに完成。辰野金吾設計。空襲で焼失。
県立富山薬学専門学校
明治43年11月に総曲輪の元日赤病院跡(今の市民プラザのあたり)に新築。
旧・富山市役所
大正9年12月、今の全日空ホテルのあたりに完成。昭和20年の大空襲で焼失。
西洋料理店・対青閣
明治20年6月、神通川(今の松川)河畔に完成。当時、水の色は青かった。
◇出席者 五十音順
(役職は座談会開催当時のものです)
高田重信(自由民主党)
田畑裕明(自由民主党)
長尾憲二(民政クラブ)
針山常喜(民政クラブ)
堀田松一(自由民主党)
松本弘行(自由民主党)
◇司会
中村孝一(グッドラックとやま発行人)
司会 20年前までは、富山は顔の無い街、イメージのない街といわれていました。しかし、神通川から誕生した富山の歴史を生かし、富山城から富山港への舟運を復活させようと、松川に遊覧船が就航してから、富山のイメージはハッキリと変わってきました。
明治・大正期の建物を松川沿いに復元
司会 私たちは〝東洋のベニス・水の都とやま〟をキャッチフレーズに、2003年、神通川直線化100周年を記念して「夢の神通回廊」プロジェクトを発表、昨年の新春企画では、松川沿いに、サンアントニオのリバーウォークのような賑わいを創出するために、明治・大正期にかけて中心部にあった建物の復元を提案しました。
長尾 富山の歴史的な建物を復元し、目、視覚に訴えることはとても大切ですね。
司会 明治期にあった「対青閣」という西洋料理店や、県立富山薬学専門学校、また大正期の富山市役所、富山市立図書館を少し縮小して、松川べりに作れないか、とイメージしてみました。富山は歴史的な建造物を空襲で焼失したため、歴史の重みが感じられない街となり、その事を市民がとても残念がっているんですね。
松本 ようやく五月に市長と市幹部が訪問されましたが、サンアントニオのリバーウォークは本当に素晴らしかったですね。確かに古い建物があって歴史の重みを感じました。具体化するとなると、桜並木や、道路をどうするか、課題がありますが。
司会 前の出納長だった澤合さんは、以前より、安住橋から塩倉橋までは道路がなくてもよいのではと、おっしゃっておられますね。
堀田 道は他にもありますから、この道を通らなければならないということはないですしね。道路を解決できたら、すごいことになりますね。松川を中心に大きな公園が誕生することになります。
高田 北九州市だったと記憶しておりますが、川を整備するために道を付け替えたとお聞きしました。相当お金がかかったそうですが、やるべきことはやらねばならないですね。
松本 確かに、桜も寿命があり、今後道路と共に、どうしていくか考えねばなりませんね。
堀田 サンアントニオのリバーウォークのように、川べりに飲食できるお店が並べば、雰囲気が全然違いますからね。松川は富山の中心ですから、川に面して飲食をともなったお店があるとロマンチックでいいですね。
司会 県民会館側の車道がなくなり、城址公園と一体化できると、広がりがでてきますよね。お店もたくさんあると、楽しい雰囲気になりますし。
▲2005年に完成した松川の遊覧船乗り場と、松川茶屋の階段式カフェテラスの賑わい。
▲リバーウォークは5メートル掘り下げられ、森林公園のような美しい自然と建物がうまく調和し、幻想的な世界を作り出している。(撮影:埴生雅章氏)
歴史や伝統が感じられる街は魅力的
田畑 倉敷は女性が好むようにかなり整備されてますよね。やはり、その街の歴史や伝統が感じられる街並があると、市民も自分達の街に誇りを持つでしょうし、観光客も憧れますよ。サンアントニオのリバーウォークにいると、帰りたくなくなったんですが、美しい自然と歴史的な建物が作り出す独特の雰囲気が、そうさせたのかもしれませんね。
司会 倉敷のお店で聞くと、本当に古い江戸時代のものは一軒だけで、明治・大正期のものも数軒。柱が新しいなと思ったら、昨年建て替えたばかりだと。なんと、この雰囲気に合わせて歴史的な街並に作り替えているんですね。
針山 たしかに、土蔵造りがあったりすると、歴史を感じさせる空間になって街に重さが出て来ますよね。
長尾 松川は、私にとっても空襲の時助けられた大変重要な川なので、なんとか活性化したいと思っておりますが、やはり水質の問題がありますね。あと、水位を一定化すること。「夢」の根っこにあたる部分を、どのように整備していくか、考えることが大切です。
▲富山市庁舎と松川遊覧船は、市民のシンボルとなっている。
サンアントニオへ行って来た人達で行動を起こそう
司会 前の県の河川課長で、富山土木センター所長も務められた今井さんも、できるところから、一歩一歩やっていくこと、将来の大構想と、今すぐできることをわけて、一年一年着実にやっていくことの大切さを強調しておられましたが、その通りですね。
長尾 この構想につきましては、これまで各界、各層、市民の方など様々なジャンルの方から意見を聞かれ、方向性が見えてきた段階だと思います。このまま「夢」で終わらせないために、協会を作ることが必要ですね。
高田 その通りです。私たちは四年前、サンアントニオを視察し、その後松川・いたち川の整備について協議を重ねてきました。そろそろ協会を作る時が来たようですね。
針山 ここら辺で、サンアントニオへ行って来たメンバーが中心となって、行動に入る為の統一した意見を出す時期が来たようですね。
松本 私たちはサンアントニオのリバーウォークを実際見てきたわけですから、機会をとらえては市民にその素晴らしさを訴えて、啓蒙していかなければなりませんね。「夢の神通回廊」も市議会でたびたび話題になるようになってきましたし、、皆の力を結集して、あきらめずに、一歩一歩前進させることです。時間はかかりますが、夢の実現に向けて努力していかねばなりませんね。
針山 私も松川の未来を描いた夢はこれでいいと思うんですが、まず乗船客が増加しているという実績づくりが大事ではないでしょうか。例えば小学4、5年生が、春になったら必ず乗るというように。そうすれば、昔乗ったことあるから、また乗ろうよ、ということになります。
そのような積み重ねの中で、コンスタントに実績を上げていく。そして、春の桜ばかりじゃなく、土日や連休は満員になるんだと、県や市にアピールする。また、そのうち観光客はこれだけで、県内市内はこれだけというデータを出せるようにする。そうしたことをもとに、このように改善すればもっと良くなると、具体的に提案されたらいいと思います。
司会 確かにその通りです。実績づくりが一番大切ですね。
▲サンアントニオのリバーウォークは、ヒューマンスケールで松川の整備の進め方を暗示しているようだ。(撮影:埴生雅章氏)
▲1999年「滝廉太郎Ⅱ世号」による富岩運河クルーズが始まる。
「夢の神通回廊」構想を着実に前進させよう
堀田 それから行政側が、松川を市民の憩いの場だけでなく、いかに観光に結びつけていくか、県なり市なりが連携して、実現性のある構想を作っていかなければならないと思います。やはり、将来的に松川をどのように整備していくのか、まずそこがいちばん大事ではないでしょうか。市長が訪問してから、サンアントニオへの関心がいっそう高まっていますし、また、松本さんや多くの議員さんが議会の中で質問されていらっしゃいますけど、松川の遊覧船を、いたち川、運河へとつないで、通して運航ができるようにしていただきたいですね。
魅力アップで一年中賑わう松川に
田畑 桜の時期の松川の遊覧船に関しては、全国にもたいへん認知度が上がってきていると思います。しかし、それ以外の季節は新たなファン獲得のための魅力づくりが必要かと思います。その為には、サンアントニオのリバーウォークを松川の整備の参考にすべきですね。
また、最近ではコスモスの種まきをされたり、市民やボランティアの方で清掃活動をされたりと、積極的な活動も行われております。このような地域の方々に愛していただく取り組みにおいても、季節を問わず、人が集いやすい環境づくりに、一層の努力が必要ではないでしょうか。
高田 今本当に皆さんのおっしゃる通りだと思います。せめて、県民会館側にある道をなくして、城址公園と一体化できれば「おおー!すごいな」ということになりますしね。それだけでも雰囲気が全然違ってきますし、将来的に整備を進めていく上でのイメージがわいてくるように思います。
司会 「夢の神通回廊」の実現に向け、皆で気運を盛り上げていきましょう。本日は、誠にありがとうございました。
▲遊覧船が行きかうリバーウォークは市民や観光客にとってオアシスになっている。(撮影:埴生雅章氏)