小学校再編は、新しい学校としてスタートするという気持ちで
富山港湾運送株式会社 代表取締役社長
岩瀬自治振興協議会 前会長
金尾 雅行 さん
Masayuki Kanao
現在、富山市では、少子化による児童数減少や教育環境の充実を背景に小学校再編が進められている。昨年4月、樫尾小学校が八尾小学校と統合し閉校した他、大広田小学校と浜黒崎小学校が、来年4月1日に統合することが決まっている。
富山市教育委員会は、丁寧な説明と情報提供を通じて合意形成を目指しているが、学校存続の要望が強い地域も多く、合意に至るのは容易でない状況となっている。
金尾さんが昨年まで岩瀬自治振興協議会会長を務めた岩瀬校下でも、岩瀬小学校が再編対象校になっている。
「大きい学校が小さい学校を吸収するというのでは、住民感覚ではもう絶対収まらないです。最初から言っている話ですが、〝新しい学校としてスタートする〟という気持ちでないと、再編というのはできないんです。そのことを強く、大きい学校の人たちに、特に言わなければならないと思います」
「それは、全体のことを考えるから必要な再編であって、数合わせを少数エリアの人達だけに押し付けるというのは、やっぱりまずいんですね。その感覚が一番の障害になるのです」
「いろんな各種行事をどう保存していくのかを含めて、理解がないといけないですね。一緒になっても、こちらの行事、あちらの行事、タイミング的にずれたりすれば良いけれど、同じ時期に同じような行事を別々にやるなんていうのではね」
「数の論理を言うんだったら、それはもう、調整も何も必要ないですから」
この問題は、世界的な教育の動きとも関係があるという。
「一学級を何人にするのが目標なんでしょうか。一緒にして学校を減らしてしまって、そのうち40人学級だったのが35人学級にしようと言ったら、教室が足りないというおかしな話になりますからね(笑)」
岩瀬は、江戸時代、富山藩ではなく加賀藩だったという歴史もあり、独立した感じの地域だという。
「2023年、岩瀬小学校は創立150周年を迎えました。小学校というのは校下単位のシンボルですから、それを再編して統合していくということは、これからどのような地域を目指すのか、ということにもなります」
プロフィール ●
富山市岩瀬生まれ。O型。早稲田大学第一政経学部卒。父(前社長の金尾力松氏)の仕事の関係で、5歳から高校生まで、大分県佐伯市で過ごす。
平成4年、富山港湾運送㈱取締役社長に就任、現在に至る。平成22(2010)年11月1日から平成28(2016)年10月末まで、富山商工会議所副会頭を務めた。昭和62(1987)年10月の富山観光遊覧船㈱の設立時から令和2(2020)年11月まで、取締役を務めた。
●座右の銘…文質彬彬(ぶんしつひんぴん) 『外見と実質とがほどよく調和していること』