【其ノ十六】 落語家への道 〜その五〜

柳家さん生・・・昭和32年、富山市西町に生まれる。上野鈴本演芸場等、寄席定席に出演のかたわら、都内各所にて勉強会、独演会を精力的に開催、活躍中。
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 昭和五十年、大学に入って間もない五月。私は国立小劇場で十代目金原亭馬生師匠の「お初徳兵衛」という人情噺を聞いて衝撃を受けます。芝居と違い落語はたった一人で語るのみ。それなのにそこには演じている馬生師匠の姿はなく、その代わり街の風景や季節の風、灯る明かり、そしてお初と徳兵衛が、生き生きと動いていたのです。
 芝居を超えていると思いました。もう一も二も無く落語家になりたい! それからは寝ても覚めてもその一念に取り憑かれ、親にも落語家になりたいと訴え続けます。
 同級生に東京生まれのばりばりの落語好きがいて、いろいろと教わりました。今日は末広亭、明日は鈴本演芸場と寄席に通い詰め、テープやレコードで落語を聞きまくり、八代目桂文楽を知ることになります。当時、八代目文楽は既に他界。でも私のクラブに指導に来ていたのが文楽の弟子。そう、今の我が師匠であります三代目柳家小満んです。


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