58.私にとっての書くことの原点

ヒロコ

富山県出身。アメリカ人の旦那グレッグと、インドで出産した娘、愛子の3人家族。カナダで1年、イギリスで1年、インドで3年半、アメリカで4年、そして2012年3月からはフランスのパリに住むことになりました。

 私はいつから文章を書くのが好きになったのだろう? 本を読むのも好き。文学に触れるのも好き。この原点は私の過去のいつから始まったのか? 深い記憶の奥底に耳をすませてみた。そして気づいた。それは私の両親のおかげだ。私がまだ小学生だった頃、自営業で毎日忙しい両親を側で見て育った。甘えたくても、遊んで欲しくても、いつも絶えず忙しそうに働いてる姿を見ると、わがままを言えなかった。でも、毎週土曜の朝に、母が私を図書館に連れて行ってくれて、好きな本を選ばせてくれた。そして紙芝居を読んでくれた。これが楽しくて…、母と一緒に過ごせる特別な時間だった。最初にどれを選べばいいかわからなかった私に、母は二宮金次郎の本を選んでくれた。私の通っていた小学校に銅像もあった。貧乏で薪を担ぎながら勉強して出世した立派な人だ。私は世の中にこんなに苦労しても諦めずに偉人になる人がいるんだと心から感動したのを覚えている。
 それから私は偉人の本を読む虜になった。そしていつも読み終わると、両親が感想を聞いてくれた。どんなに忙しくても手を止めて、私の感想を聞き、喜んでくれた。それがどんなに子供心に嬉しかったことか。そう、これが原点だ。自分の気持ちを誰かに伝えて、表現して、聞いてくれた人が、読んでくれた人が喜んでくれる。何かを感じとってくれる。その幸せな気分が、私に筆をとらせる。私は忙しくても、こうやって本という世界に導いてくれた親に感謝したい。子供を育てるというのは、生半可なものではない。でも親は子供に興味のあるものに導いてあげたり、世界にはいろんな人がいて、自分の知らない世界を、知識を、感情を様々な方法で学ばせることができるし、自分の中には無限があると気づかせることができる。私にとっては、両親が本でこれを教えてくれた。私も自分の娘に本の素晴らしさ、意見を述べることの大切さを伝えていきたい。本は私の親友で、両親が喜んでくれる、私と過ごしてくれる大切な宝物であった。最近は、TVやインターネットで簡単に情報を得てしまいがちな時代だが、私は本を子供と一緒に読むという時間を、今、大切にして生きていきたい。親が私にしてくれたように、そして将来、私の娘が、自分の子供にするように。親は子供の鏡なのだ。素晴らしいと感じたことは、自信を持って子孫に受け継いでいけばいい。

 


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