城址公園北側の松川周辺エリア整備計画への懸念

 富山市では、城址公園北側に位置する「松川周辺エリア」の再整備を行うため、整備計画検討委員会を開き、夏場に子どもが水で遊べる「水景施設」や、エリアの東西を貫く園路、松川沿いの桜を眺めるデッキなどを設ける基本設計を発表。
 この計画によると、現在、市民や観光客に人気のある「親水のにわ」や、日本庭園の東屋、太鼓橋、池などすべてなくすとのこと。大きく成長した木々もかなり伐採するという。この計画について、「親水のにわ」日本庭園を設計された京田氏に話を聞いた。

 


▲京田さんが設計・工事監理を担当した「親水のにわ」。滝、東屋、赤い太鼓橋「景雲橋」がいい雰囲気を醸し出す。

 

 今あるものを壊して、もっといいものを作るならいいですが、どのようなものになっているのか、伝わってきませんよね。やっぱり、ここは市民の憩いの場でもあるけど、観光で来た人が富山の街中でちょっと自然散策をしながら、ゆったりできる場所にするべきですよ。
 「松川周辺エリア」には大木が生い茂り、森のようになって夏の強い日差しを遮って、訪れる人に喜ばれていますが、この木はいくらお金を出しても買えません。都心のオアシスを作り出しているこれらの木々を切ってしまうのは、とてももったいないことです。
 木を切る理由が、薄暗くて、子どもが怖がるからということであれば、水に子どもが落ちたら危険だから、池を埋めなければならない、という話に繋がってしまうんですよ。旧市立図書館側にある大きな鯉が泳ぐ池は、市民の憩いと癒しになっていますし、観光客にもカメラスポットとして人気がありますね。計画では、この池を埋め、かかっている太鼓橋も取ってしまうそうですが、市民が知ったら驚くでしょう。
 また、カラスがねぐらにして糞を落とすから、木を切るというのも、そもそも発想がなにか違う気がします。70年以上の歳月をかけて、やっと今日のような大木に育ち、城址公園のシンボルとなっている木々をもっと大切にしましょう。

 

育てる造園。壊す土木。まちづくりは育てることが大事。

 自然の風景をどうやってそこに自然らしく写し取るか、というのが日本庭園ですから、規則的に丸い石が整然と並んでいる、というのは、そもそもありえないんです。これは完全に土木工事なんですね。造園の仕事を土木工事にしてしまうと味気ないものになります。造園屋さんは、完全に現場合わせです。持ってきた石の中でどう組み合わせるか、というのが造園屋さんの技ですね。
 カラスのねぐらにしないためには、例えば、ミツバチの巣を近くに設置するというアイデアもあります。現在、カラスの檻をいっぱい並べてありますが、あれを見た市民や観光客はいったいどう思うでしょう。今後、議論を深めていく必要があるように思います。

 

京田 憲明(きょうだ・のりあき)
昭和31年(1956年)2月14日生まれ。富山市生まれ。明治大学農学部卒(造園学)。昭和54年、富山市入庁、主にまちづくり関係の部署に勤務。公園緑地課では、「富山能楽堂日本庭園(S.62)」「城址公園親水広場(S.63)」などを設計・工事監理。都市計画課では、「都市計画マスタープラン」、「景観形成ガイドライン」の策定などを担当し、富山駅北地区都市みらい計画(新都市拠点整備)にも参画。平成10年4月、都市再開発課まちづくり計画係長。市街地再開発など中心市街地活性化に関する業務を担当。平成18年4月、都市再生整備課長。平成19年9月、「グランドプラザ」オープン(計画・整備・運営に中心的に取り組む)。平成19年9月、「総曲輪通り南地区再開発事業」(富山市最大の商業再開発)竣工。平成21年4月、農林水産部次長。平成22年10月、中心商店街での農産物直売所「地場もん屋総本店」オープンに参画。平成25年4月、都市整備部長。現在、㈱富山市民プラザ 専務取締役。



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