堀江秀雄さん(1922-2005)“勇気あるジェントルマン”

文/中村孝一

 10月3日、グッドラックの最高顧問をお願いしていた㈱堀江商会の堀江秀雄会長が、83歳で天国に召された。
 堀江さんは昭和22年、県内に計測器の販売店がない所に着眼し、堀江商会を創立、計量計測業界をリード。平成5年、勲五等瑞宝章を受章した。
「お互いの人格を尊重し、感謝して生きること」インタビューで教えられた堀江さんの信条は、今、宏充社長に引き継がれている。
 25年前、羽田空港での出来事。航空会社の手違いで一名余分に搭乗券が発売されたことがあった。一人だけ午後の便にまわって下さいとの場内アナウンスに、客たちは騒然となる。「そうしないと飛び立てない」とヒステリックに繰り返されるアナウンス。その時すくっと立ち上がり「私が午後の便にまわりましょう。それでいいですね」と皆を見回したのが堀江さんだった。彼は午後に重要な会議を控えていたのだが、皆の役に立つならと会社に連絡して予定を変更。そんな彼に客たちは拍手喝采を惜しまなかった。
 富山に観光客を誘致し街を活性化しようと、松川に遊覧船を就航する事になった時、真っ先に支援して下さったのが堀江さんだった。遊覧船がスタートして間もない頃、川底が浅くて船が何度もその浅瀬に乗り上げ、悪戦苦闘していた時だった。土手の上からジーっとこちらを見ている一人の紳士に気がついた。堀江さんだった。〝見守られている〟と心を強くしたものだ。数日して赤と白に塗られたポールを持参され、「これで深さを測ったらいいですよ。事業というものは、最初からうまく運ぶとは限らないけど、諦めずに頑張って下さい」
 ある時、グッドラック創刊の目的を聞かれたことがある。
「それはケネディ精神を読者に伝えることです。彼が掲げた理想、勇気、心の大切さを通じ、読者に幸運をもたらすことです。」
 後日、「ケネディが凶弾に倒れたダラスに行ってきました」と、ケネディの肖像が刻まれた一枚の記念銀貨をいただいた。それには、堀江商会を創立した時の社章と同じデザイン、イーグル(鷲は大統領の紋章)が刻まれていた。
 「いつも〝夢〟をもって、その夢に挑戦することが大切。夢を実現するには、綿密な下準備と努力をどれだけするかにかかっている」
 銀貨を見るたびに、今も堀江さんの声が聞こえてくる。42年前、我々の友ジョン・F・ケネディは、凶弾に倒れたが、彼の掲げた理想までも殺すことは出来なかった。彼の精神は、人類の心と、思い出の中に、我々の胸の中に生き続けている。同じように堀江さんも、我々の心と思い出の中にこれからも生き続けるに違いない。

 
A)ケネディの肖像が刻まれた銀貨の表面。上にはリバティ(自由)、下にはイン・ゴッド・ウィ・トラスト(神を信じよ)と刻まれている。
B)イーグル(鷲)が刻まれた銀貨の裏面。左手に矢、右手にオリーブの枝(平和のシンボル)を握り、顔はオリーブの枝に向けられた、大統領の紋章。

 

思想と力によって、勝利者となった人々を、私は英雄とは呼ばない。私が英雄と呼ぶのは、心によって偉大であった人々だけだ。
——ロマン・ロラン


おすすめ