10★重力波とは何か
重力波とは何か
川村 静児・著
幻冬舎新書
◆宮城県生まれ。富山県天文学会会員。平成14年から21年まで富山市天文台勤務。現在は、子育てをしながら富山市科学博物館ボランティアとして活動。好きなものは、星と月、本、石、博物館巡り、お菓子作り、ビートルズ。
2017年のノーベル物理学賞は「重力波」を世界で初めて捉えることに大きく貢献したアメリカの三人の研究者が受賞しました。2016年2月に初検出が報告されてから2年弱という異例の早さでのノーベル賞受賞です。マスコミでも大きく取り上げられたので、ご存知の方も多いでしょう。でも、そもそも「重力波」とはどんなもので、それを捉えることがどれくらいすごいことで、捉えたことで何が分かるのか…などといった疑問を、本書は分かりやすく解説してくれます。
筆者の川村静児博士は一時期、「重力波」を初検出したアメリカの重力波観測所で、検出器の改良を担当していました。現在は、岐阜県の神岡鉱山の地下にある重力波望遠鏡「KAGRA」の運用に携わっています。現在「KAGRA」は今年度中の本格稼動を目指して、作業が進められています。日本において重力波を初検出する日が待ち遠しいものです。余談ですが、本書にはアインシュタインをモデルとした(と思われる)可愛らしいイラストが添えられています。描いたのは川村博士のご子息とのこと、こちらも必見です。
ちょうど、富山市天文台で企画展示「ブラックホールと重力波」が開催中です。イラストやクイズを用いて重力波が分かりやすく解説されており、「KAGRA」の模型なども展示されています。本書を読んで重力波に興味が出た方(あるいは読むのを挫折してしまった方)は、足を運んでみてはいかがでしょうか。
[企画展示「ブラックホールと重力波」]
会場:富山市天文台
会期:2月3日㈯〜5月27日㈰
内容:ブラックホールとはどのような天体か、宇宙のどこにあるかを紹介し、合体する時に生じる重力波を捉える東京大学宇宙線研究所の重力波望遠鏡KAGRAを紹介します。天文台で製作したKAGRAの模型、原理模型のほか、富山や宇宙にブラックホールが現れた場合、どのように見えるかも紹介します。