Vol.1 緑の松川もすごくいいのよ

中村志保〈Profile〉

 

月刊グッドラックとやま編集部スタッフ。桜終了後の松川の魅力も知って頂きたいと《まちなか水辺遊び》と題して、2018年からさまざまなイベントや企画便を開催。富山市在住歴20年。1児の母。

 おかげさまで、松川といえば桜の名所ということで、桜期間はオーバーツーリズム状態。でも、桜が終わるとパタっとあのものすごい活気が終了して静かな水辺になります。私は嫁に来てから、20年になるのですが、桜期間中に乗ったことがあるのはおそらく数回で、本当に特別な時だけです。関係者ゆえ繁忙期にはそもそも乗らない、乗っている場合ではない。息子が生まれてからも同じで、繁忙期ではなく桜が終了して新緑の季節になってから息子のお友達たちと船を楽しんできました。なので、緑のトンネルの下をくぐり抜けるその景色のほうが圧倒的に目に焼き付いています。そして、そのとてつもない美しさを知っているのです。松川は川幅10m。土手から土手でも20m。両岸の並木から川面に向かって枝が伸びて、並木のトンネルができる規模感なのです。緑の季節になると美しい新緑並木、そして両堤防の緑も当然視界に入る。もうひとつ意外だったのは、川面に映った並木の緑。川の水の色と重なって深緑の色になる。並木トンネルのあいだから見える空以外は緑・緑・緑、そして船の赤。こんな緑の包まれ方ってあるんだな〜と毎回、飽きることがない。これは乗ってみないとわからない。桜は確かに素晴らしい。絶景。けれど、私には緑の期間のこの景色も同じくらい絶景に感じるのです。これをなんとか伝えたい。観て頂きたい。でも、残念ながら、桜期間以外は船は運航していないと思っている方も多いので、11月末まで運航しているとご案内すると驚かれたりする。うぅ〜、緑の綺麗さをお伝えする以前にまだまだ認知度低いのね…。「緑もいいですよ〜!」だけではダメなんだ…。こう実感したのが出発点。
 それなら何かイベントを企画して、ここにきていただくきっかけを作ろう。そしてここでイベントや企画便を楽しんでいただくその時に、緑の松川の素敵さを観ていただけたら。
 《まちなか水辺遊び》は、このようにして始まったのです。始まったというか、とにかくどうしたらいいのかわからないけど、ひとつひとつ実験でやってみる、そういう手探り状態から始まりました。当時はまだ自分が伝えたいことを言語化して説明もできず、《まちなか水辺遊び》という取り組み名が生まれたのは、スタートしてから翌年のことです。

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