横浜市の都市づくりにおいて企画調整部門が果たした役割の記録

都市ヨコハマをつくる
田村明著 中公新書
絶版

 

 敗戦後、荒廃していた横浜市。著者の田村氏は、コンサルタントとして、いかに横浜を再生し都市づくりを行なうかの計画に携わり、その後、その計画を市に入って企画調整部長として実行することになった。
 当時、自治体には企画あるいは企画調整部門と呼ばれる組織が生まれていたが、厚いタテ割りの壁をなかなか突破できず、実践的には無力感を感じているのが実情であったそうだ。
 著者は、他の自治体企画部門が悩んだ点を越えるため、6つの方向を進めていったという。
一、タテ割りでばらばらな自治体行政をヨコにつなぎ、総合的な観点から都市づくりを行なえるようにする。
二、自治体行政を主体的で能動的、積極的なものに変えてゆく。
三、都市づくりの理念をもつ。
四、つねに現実に働きかけ、理念にすこしでも近づけてゆこうとする実践的なものにする。
五、個性や人間性を失いかけている都市を、潤いのある豊かな人間環境としてゆく。
六、中央官庁ベースや、企業ベースで行なわれてきた都市づくりを、市民を中心にした自治体ベースに変える。
 そして、企画調整局は、市の各部局のタテ糸に対するヨコ糸を目指したという。そのため、自らは事業を所管しないという原則を立て、他局の予算をいかに全市的視点から用いるかということを考えた。
 少し古いが、実践的まちづくり手法を学べる本である。 


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