・ グッドラックとやま 2026街づくりキャンペーン ・富山の街のシンボル松川の夢を語ろう!

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富山の街のシンボル松川の夢を語ろう!

「グッドラックとやま」 2016(平成28)年11月号より再編集

 県都・富山市の発祥の地とも言える松川べり一帯は、現代を生きる私たちを先人たちの歴史とつなげてくれる貴重な空間でもある。このシンボルスペースを活かすことで、県民市民が誇りを持てる富山の未来を創造できるのではないだろうか。

◇座談会出席者

[役職は平成28(2016)年当時]

池田 安隆 さん(池田屋安兵衛商店 社長)
小竹 和博 さん(サンヨウ(株) 社長)
木本 隆久さん(木本仏具店 社長)
松井 洋 さん(三進堂 社長)
祖川 裕美 さん(アコースティックユニット ボーカル)

司会/中村 孝一(グッドラックとやま発行人)

神通川の名残を残す松川を活かそう

中村 富山を市民が誇りを持てる街に変えていこうと、弊誌で街づくり座談会を始めて31年。当時、街の中心である城址公園に魅力がないとの意見が出て、市や県に提案しましたが、「城址公園は完成している」と突っぱねられ、なかなか話が前に進みませんでした。
 民間で整備懇話会を作ったり、議会で提案する中で、新幹線が開業するにあたり、昨年、城址公園内に日本庭園が完成。31年もかかりましたが、市民の声がとうとう城址公園を変えたわけです。
 また、富山発祥の地である神通川の名残を残す松川こそ、富山の歴史・文化・伝統のシンボルとしてイメージしていただける場所なのではないか、と様々な提案をさせていただいております。
 「灯台下暗し」という言葉通り、自分の街の魅力を一番わかっていないのが地元の人。富山は、まだその資源を生かしきっていない。
 そんな中でも、池田屋安兵衛商店さんは、富山の薬を非常にうまくアピールされて、多くの観光客が来ておられますね。

観光客誘致に大切な街のイメージ

池田 今は「観光バスが停まる店」、と非常に皆さんから注目を集めていますが、この事業は今年で21年目。その前は1台も観光バスが来たことはなく、店の改装を機に積極的に外へ出て誘致をしてみたらどうかということで始めたんです。これまで観光バスが来ると言えば、広い駐車場があるところでしたので、まちなかでは不安もありましたが、次第に手応えを感じてきました。
 それも、〝富山は薬の街である〟という記憶とイメージがあればこそで、300年の売薬さんの歴史があったからだと思います。富山市は印象が薄い、どこにあるかわからないと言われていましたので、そういう意味でもやってよかったという気がします。
 私たちが始めた頃は、団体観光バスがちょうど右肩下がりになり、個人客にシフトしていく時代でした。新幹線が開業してからは、新しい旅行層を生んでいますね。

中村 新幹線開業で、個人客は増えましたか?

池田 個人客は土日、ゴールデンウィーク、夏休みに多いのですが、新幹線と路面電車を利用して来られる方がほとんどです。

中村 本当に富山市の観光に貢献しておられると思いますよ。

池田 観光客は、訪れた街の歴史・文化・伝統産業などに触れたいですからね。

木本 38歳の時に、富山青年会議所が全国会員大会を誘致したんですが、その時に式典委員会にいまして、式典に来た全国のJC(青年会議所)のメンバーに、富山らしいものを出そうと。その時に出た結論が、薬と水だったんです。そこで、県内の薬屋さんに提供していただいた試供品の薬と一緒に、穴の谷の水を出したところ、大変好評でした。

中村 全国大会は、富山の魅力を知らせるいい機会ですね。松井さんはJCの活動で、松川を中心にイベントを開催されましたね。

▼江戸時代、神通川に架けられていた日本最大規模の船橋は、立山と並ぶ「越中富山の名所」とも言われた。今は松川に架かる「舟橋」が、その名残を残している。(「越中之國 富山船橋之真景」松浦守美(1824〜1886))

全国に誇れる富山の”水”

松井 2006年、富山JCの地域力創造推進特別委員会の委員長の時、河内理事長が、野外で面白いイベントをやろうと。委員会で、「地域力とは何か」とみんなで議論して、そこに住んでいる人たちが、自分たちの街に自信と誇りを持つことが地域力ではないか、という結論になったんです。
 富山市が、最も自信と誇りを持てるのが「水」。それではこの水をテーマにやろうと、松川べりで1日かけてイベントを行いました。この時、松川遊覧船を1日借り切って無料券を出し、来られる人全員に乗ってもらいましたが、大変な人気でとても喜ばれました。
 また、穴の谷の水、富山の水道水、東京の水の3種類で「利き水」をすると、富山の水道水が美味しい、という方がかなりおられました。

中村 富山の水道水はとても美味しいと、全国的にも有名ですね。

松井 水は、富山の誇りとなる大切な要素。また、神通川を直線化して、今の富山市中心部が生まれた。富山は歴史的にも、水との関わりが非常に強いんですよね。

中村 神通川から生まれた富山にとって、その名残を残す松川は大切な宝物だと思います。

小竹 富山市だけではどうしても地味なので、富山県全体の魅力の中の一つ、というPRの仕方も必要かもしれませんね。
 私は富山市で生まれ、育ちましたので、子供の頃はこの松川、いたち川近辺でよく遊びました。魚釣りをしたり、タモですくったり……。とても思い出のある川です。

中村 一時、川の水が汚くなって魚が住めなくなったことがありましたね。船頭さんに聞くと、昭和30年代初め頃までは、川の水をすくって飲んでいたそうですが。

木本 40年代の公害問題は、全部それでしょう。みんな川に流しましたからね。

中村 今はかなりきれいになり、魚も戻ってきましたね。
 国交省が1997年に、川をもっと昔のように生かそうと掲げたのが、〝人々の集い賑わう川〟、〝街に潤いと安らぎを与える川〟、〝街のシンボルとしての川〟という3つのテーマ。松川べりに楽しさと賑わいを取り戻そうと、「松川リバー劇場」のステージで、滝廉太郎を記念して、毎年「リバーフェスタとやま」を開催しているんですが、祖川さんにもアコースティックユニットでご出演いただいていますね。

松川べりの特色をイメージとして打ち出す

祖川 松川べりで、風に吹かれながらのライブはとても情緒があり、楽しませていただきました。
 富山の水辺と言えば、この松川べりと、環水公園がありますが、それぞれの個性の違いを打ち出して、観光客の方が、自分の好きな水辺を選べるというのもいいですね。松川近辺は、富山城や松川茶屋の〝和モダン〟な感じ、環水公園はフランス料理など〝洋〟の感じと言う風に……。

中村 松川の整備のお手本にしているサンアントニオのリバーウォークは、「世界の料理店」が集まって賑わっていました。ステーキハウスやメキシコ料理、イタリアンからすしバーまで。松川河畔も、世界中の料理店が集まったら、楽しいでしょうね。
 先日、小樽へ行く機会があったのですが、観光客がものすごく多いですね。全く花がないのに、松川の花見の頃のような感じです。4年ほど前から小樽運河でも遊覧船が出ていますが、次々に観光客が乗船しておられました。

池田 小樽も、運河を埋め立てて道路にするという、大変な論争がありましたよね。現在小樽では人口減少がひどくて、観光で食べていくしかないと、必死だと聞いています。

中村 小樽はもう既に観光客は来ているので、遊覧船を始めたのも、雇用の場を作るのが目的だと聞きました。

小竹 富山の場合は豊かな環境、産業もありますし、無理して観光をやらなくてもいいという経緯もあったんでしょうね。

中村 富山から来たといっても、知らないと言われると悔しい。誇れる街にするには、観光に力を入れることが大切ですね。

小竹 全国区になりえるものがあっても知らない、知られていないということもありますね。

木本 機会を作って、市民に自分たちの街について勉強してもらえるといいですね。どこかの青年会議所では、入会すると、JCのエリアの観光地を、バスに乗って徹底的に回って、マイクでもって案内するそうです。そういったことを10年20年続けたら、また変わってくるかもしれないですね。

▼現在の松川は、桜の名所として多くの人々が花見を楽しむ場所としての認知度は高いが、今後は富山のシンボルゾーンとしての価値を高めていくことが望まれる。

松川べり一帯を、富山の歴史・文化・伝統の中心に

中村 東京、関西、中京から見ると、富山は北陸というイメージが強いようです。北陸の中で選んでもらうためにも、富山の中でいちばん歴史のある場所、富山の発祥の地である松川をもっと活かして、地元の人が誇りを持てる場所にする。県外客にも〝水の都・富山〟の歴史が感じられるような、街のシンボルとしての川に修景するとともに、管理水準も高めることが大切ではないでしょうか。

木本 明治になり、富山を作っていく時に水を追い込んだでしょ。水を征服して水を殺そうとした。そして、結果的に水を殺してしまった。ここに来て、水を活かそう、水と暮らそう、なんて言ってますけど、そんな急に市民の頭の中は変わらないんでしょうね。

中村 富山の歴史を感じる場所と言えば富山城。以前、全国の城愛好会の方たちが富山城を見に来られ、高く評価しておられましたが、地元の人たちがその価値に気づいていないんですね。

祖川 富山城は、滝廉太郎さんの「荒城の月」のモデルになった、と言われていますよね。悲哀の歴史が込もった、哀愁漂う富山城、と打ち出していくのも、ユニークでいいかもしれませんよ。

松井 山口県の萩城も、昔の天守がなく古い石垣だけのお城ですが、観光客が多い。萩の町とセットなのでしょうが……。また、以前、NHKのブラタモリで、島根の松江城のお堀を遊覧船が回っているのを見ました。富山も環境的には同じことができそうですね。

中村 以前、市の方でも予算を取って松川整備懇話会を立ち上げ、西のお堀を復元し、明治期にあった建物を復元するイメージパースまで描いていましたね。
 観光客はそこの街の歴史・文化・伝統に触れたいわけですから、歴史や文化を感じ取れるものを、新たに作っていくことも必要でしょうね。有名な長崎のグラバー邸も、移築したそうですね。てっきり、昔からあの場所にあったのだと思っていましたが……。

木本 今は、観光客用のエスカレーターまでついていますよ。

中村 富山には、そういう発想が欠けているのかもしれませんね。
 以前、松井さんから「志はすべてを凌駕する」というモットーを伺ったのですが、われわれ市民が「富山を誇れる街にしたい」という志を持ち続けることは、非常に大切なことだと思います。
 これは、一朝一夕では成就しない大事業ですが、夢を語ることで、地道に声を上げ続けていきたいと思っています。本日はありがとうございました。

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