富山県都・城址エリアの未来ビジョンづくりに挑戦

富山県経営管理部 公民連携推進監
吉田 守一 さん
Shuichi Yoshida

 

 昨年7月から、㈱日本政策投資銀行(地域の活性化を目的とした政府全額出資法人)から県庁に出向し、民間と行政の新しい価値創造に向けた取り組みを推進している。
 「地域活性化の取り組みの一つとして、20年から30年先を見据えて、産学官民連携による〝富山県都・城址エリアの未来ビジョンづくり(仮称)〟をやってみよう、と。対象エリアは、あくまで私見ですが、NHK跡地、県庁前公園、県庁敷地、城址公園およびその周辺などで、今は官庁街のこのエリアを一体として考えて、富山らしい文化、歴史、教育などが感じられる場へと格上げしていく。コンパクトシティ戦略が一段と前に進むという期待もあります」
 そのための観点の一つとして、「歩いて楽しい南北移動」を挙げる。
 「富山駅・CiC周辺から県庁前公園、県庁敷地を通過し、城址公園、総曲輪周辺へとつなぐ歩いて楽しい歩行空間を整備し、回遊性を高めたいですね。このエリアには東西に走っている車道があり、これが富山駅と総曲輪周辺を分断しているとも言え、できれば車道を廃止して、人優先の公道や公園緑地に転換できたらいいですね。あと、城址大通りも、少し人優先の道路空間に再構築できたらと思います」
 もう一つの観点として、「まちなかでの集客装置の整備」を挙げる。
 「大学、病院、図書館など、郊外に立地していたり、郊外に移転してしまった施設にまちなかに戻ってきていただけないかな、と。一過性のイベントに過度に頼らない日常的なにぎわい創出が大事で、たとえば、『まちなかキャンパス』ができれば、このエリアはいつも学生がいる空間になります。学生時代の富山に対する印象も変わり、富山で就職しようという人も増えるかもしれません」
 3つ目の重要な観点として、「松川沿いの水辺空間の再整備」を挙げる。
 「規模は違いますが、大阪府の北浜テラス、千葉県柏市の柏の葉アクアテラスなど、水辺空間を再整備して、歩きたくなる空間づくりに成功していますし、これまで多くの地元の皆さんが視察されているサンアントニオのリバーウォークも参考に、富山型としてうまく取り入れていけばいいと思いますね」

 

プロフィール ●
1972年、富山県小矢部市生まれ。早稲田大学 政治経済学部 政治学科卒業。1995年、日本開発銀行(現㈱日本政策投資銀行、DBJ)入行。DBJ入行後、東海支店課長、企業金融第1部課長、産業調査部課長、業務企画部イノベーション推進室課長、富山事務所長などを歴任。2022年7月から現職(在籍出向)。県庁では、これまでの業務経験やネットワークを活かして、公民連携や地域発イノベーションなどの推進に取り組む。

 

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