【其ノ百六十七】なぜか気にならなくない?

柳家さん生・・・昭和32年、富山市西町に生まれる。上野鈴本演芸場等、寄席定席に出演のかたわら、都内各所にて勉強会、独演会を精力的に開催、活躍中。

 何年も気になりながら特に最近気になるのが「〜じゃないですか」と「〜なくない」です。「なくない」は本当に、時に聞き直したくなるのを抑えないといけないことに何度も出くわす。「これ面白くなくない?(面白くなくはない)」「これ美味しくなくない?(美味しくなくはない)」。これは「面白い」と言うこと、「美味しい」と言うことなのです。二重否定で、否定の否定は肯定している、と言うことです。良いとか面白いとか美味しいと言うことらしいです。
 自分に自信が持てないのかと思えば、どうやらそうではないようです。何でも責任だとかいじめとかパワハラなど、何かにつけて訴えるとか責任を追及することが当たり前の権利として横行している。言った側より言われた側を守ることが大切な世の中になっている気がします。つまり、言った言わないとなった時に、自分自身を或いは会社を守るためにだんだん言葉を曖昧にしておくと逃げ道がある。そんな印象がして仕方ないのです。何でもかんでも上から目線だとか言ってあげつらうのではなく、言葉を、しいては日本語を大切にしてほしいと思うのです。こう思うのは私だけじゃなくない?
 いやはや まいどはや

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