【其ノ百八十五】今年の旅の終わりに

柳家さん生・・・昭和32年、富山市西町に生まれる。上野鈴本演芸場等、寄席定席に出演のかたわら、都内各所にて勉強会、独演会を精力的に開催、活躍中。

 コロナ禍が五類になって少し世間が落ち着いてきました。ようやく、コロナ禍前にやっていた地方での落語会もほぼ戻ってきました。釧路、芦別、塩釜、山形などなど、本当にありがたい事です。四年ぶりに山形へ伺った時など皆さんから「待ってました!」と声が掛かるうれしさは何ものにも変え難いものがありました。やはり大勢で集まりお酒など飲みながら、同じ空間同じ時間を共有することの大切さは素晴らしいものです。
 世界はだんだん怪しく悍ましく、少しづつ世界大戦なんて戦争が起きるのではと思わせる事態ばかりです。そんな中、おいで頂いた皆さんの笑顔を拝見して、よく言われる言葉ですが「人は一人では生きて行けない」という事をしみじみ思いました。
 高齢化社会だの少子化だの色々と問題はあるのでしょう。でもみんなで集まり笑い合い、笑顔でいる。平和ボケと言われようがなんだろうが、人と人が共に喜びを分かち合う、そんな世界がずっと続くことがとても大切な気がするのです。我が日の本に生まれ育ったものとして、少しでも温かい人のつながりが続くことを祈りつつ、来年がもっと良い年でありますことを。今年一年ありがとうございました。

おすすめ