【其ノ二百四】先人の教えは
先日落語会でふと思い出した言葉がありました。
「稽古百遍・高座一遍」
ずっと以前に先輩の師匠に稽古をつけていただいた時に言われた言葉であります。稽古を百回やったとしてもお客様の前で一回話をする事の緊張感や勉強の足元にも及ばない。その時その場にいるお客様にいかに喜んでもらうか、教えて教えられるものでもなく、覚えてどこでも使えるものでもない。その時その場でのたった一度の巡り合わせであると言うことです。稽古を怠ることはそれにも増してダメなことで、いつもいつも稽古に明け暮れなければダメなことはよくよく教え込まれることなのです。これだけやれば、ここまでやれば、なんてことはないのです。どの世界でもきっと言われていることでしょう。「稽古」と書くと古典芸能のように思われますがこれを「練習」や「訓練」と代えれば、災害や事故などいつ起きるとも限らない時のためにとも考えられます。いざ起きた時には、やはり想定外のことはいくらでも起きます。しかし、稽古(訓練)していれば助かることもあるかと思います。稽古は、辛い・退屈・面倒の繰り返し。でもやる事の大切さは、きっとその時わかるのです。
いやはや まいどはや