歩いて暮らせるまちづくりの一環としての“かわまちづくり”

国土交通省 北陸地方整備局長
内藤 正彦 さん

 国土交通省では、水辺を活かして地域の賑わい創出を目指す取り組みを推進するため、「かわまちづくり」支援制度を創設。全国各地で、市町村や民間事業者、地域住民等と河川管理者が連携して活動が行なわれている。河川の環境や生態系、水辺のまちづくりなどの諸課題に取り組んでいるシンクタンクの主席研究員として、3年間勤務したこともあるという北陸地方整備局長の内藤さんに話を聞いた。

 

 「防災は基礎として重要ですが、その上で平常時の河川が市民にとってどんな水辺になっているかが重要です。基盤は県や国が管理する河川ですが、地元の市町村がバックアップをして、いろんな民間の関係者が入って協議会を作ったり、グループを作って川を生かしていく。それを支える枠組みが、『かわまちづくり』支援制度です。道路では『道の駅』が非常にうまく使われていますが、同じように、水辺を街の中にうまく取り込んでいこうという取り組みですね」
 比較的小さな市では、川が自慢の材料になり、市の職員もやりがいを感じながら、他地域と競い合っているそう。
 「富山市は大きい市なので、なかなかそんな感じではないのかもしれませんが、もともとまちづくりでがんばってきた市ですので、うまくすれば、そういう機運になるのかと思います」
 富山市はLRTを使った歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり、いわゆるウォーカブルなまちづくりに力を入れてきており、歴代の副市長には国土交通省都市局からの専門家が就いている。
 「『かわまちづくり』も、道路を柔軟に利用できるようにする制度である『ほこみち』も、ウォーカブルなまちづくりを目指しているという意味では同じです。河川、道路、都市のそれぞれの空間が連携してウォーカブルなまちを作っていくという意味で、松川べりは非常にいい材料なのかなと思います」

 

ないとう・まさひこ●
昭和40(1965)年9月29日、岐阜県生まれ。
平成元年3月、名古屋大学工学部土木工学科 卒業。平成元年4月、建設省 採用。同省 関東地方建設局 企画部、同省 大臣官房、国土交通省 総合政策局、同省 河川局 治水課、同省 中国地方整備局 出雲河川事務所長、同局 企画部 企画調整官、(財)リバーフロント整備センター〈現在の(公財)リバーフロント研究所〉 主席研究員、国土交通省 河川局 治水課 技術調整官、同省 水管理・国土保全局 河川計画課 河川情報企画室長、同局 防災課 災害対策室長、同局 海岸室長、同省 北陸地方整備局 企画部長、同省 水管理・国土保全局 防災課長、同局 河川環境課長を経て、令和4年6月、同省 北陸地方整備局長。

 

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