安全・安心に暮らせる県土づくりを進めたい
富山県 土木部長
市井 昌彦 さん
昨年は大雨による災害対応に加え、松川べりの環境をよくする事業にも取り組んできた。今年に入ってからは、元日に発生した能登半島地震による被害の復旧にも奮闘している。現在の思いを聞いた。
「昨年、大雨による災害対応の合間を縫って針の穴を通すように、松川べりの遊覧船のりばの待ちスペースを広げる計画を立て、11月に工事の発注にこぎつけたばかりのところで、地震が起きてしまいました。桜の根に問題はないか、とか、試掘で見つかった旧神通川の護岸の保護をどうするか、といった課題を河川課や富山土木センターで一つ一つほぐしていって、ようやく工事が始まったところでしたので、工事が一時中断になってしまい、携わった職員もショックは大きかったと思います」
平成9年に河川法が改正され、それまでの「治水」「利水」に加え、「河川環境の整備と保全」が加えられた。新しい水辺の活用の可能性を切り開くための官民一体の協働プロジェクト「ミズベリング」も、全国各地で進められている。一方、実際に被害が起きると、その復旧が最優先となる。
「治水をやりながら、環境にも目配りをするというところに難しさがあり、苦労しています」
現在、県では「県庁周辺県有地有効活用検討プロジェクトチーム」において、土木部だけでなく、観光や環境など様々な部局が関わり、富山市とも連携し、富山駅から西町・総曲輪までの1・2キロを、歩くのが楽しいエリアにするための一体的な検討を進めており、その中で、松川べりの活用も検討している。
「私も素晴らしい構想だと思ってまして、どんな絵が描かれるのか、見守っているところです」
いちい・まさひこ●
昭和61(1986)年4月、富山県採用。平成30年4月、小矢部土木事務所長。平成31年4月、道路課長。令和2年4月、 土木部次長。令和4年4月、現職。
●座右の銘…「日日是好日」
●健康法…歩くことと、泳ぐこと