“川とまちづくり”を考えるシンポジウムが盛岡で開催!富山・松川遊覧船が先進事例報告

さる10月29日㈰、岩手県盛岡市にて「シンポジウム 川とまちづくり『盛岡の街と北上川』」(主催:北上川「流域圏」フォーラム実行委員会/岩手大学地域防災研究センター)が開催されました。
このたびのシンポジウムには主催者からの依頼により、中村孝一(富山観光遊覧船社長、〝水の都とやま〟推進協議会理事長)が参加。「富山市における水辺復活への想い」と題して基調講演を行いました。
「北上川の歴史・自然を、流域圏の活気ある街づくりにつなげたい」と意気込む、盛岡でのシンポジウムの模様をレポートします。

【プログラム】
◎基調講演
 1 川からのまちの再生 —国内外の事例から—
   リバーフロント研究所代表理事 金尾健司
 2 歴史から学ぶ川の街・盛岡の魅力
   東海大学文学部講師 兼平賢治
 3 富山市における水辺復活への想い
   富山観光遊覧船株式会社 代表取締役 中村孝一

◎パネルディスカッション
 「川・水を活かした盛岡のまちづくり」
 ・コーディネーター 
  実行委員長、岩手大学名誉教授 平山健一
 ・パネリスト
  リバーフロント研究所代表理事 金尾健司
  東海大学文学部講師 兼平賢治
  富山観光遊覧船株式会社 代表取締役 中村孝一
  北上川に舟っこを運航する盛岡の会事務局 阿部優
  盛岡まち並み塾理事 金野万里

 シンポジウムに先立ち、主催者を代表して平山健一氏が挨拶。
 「北上川『流域圏』フォーラムは、北上川で活動している市民団体を母体とし、岩手県、宮城県など行政機関も参画した官民の両方で構成する組織。流域各地の様々な市民団体を、流域全体で後押しするために実行委員会が今年からシンポジウムを始め、今年度は盛岡市を選ばせていただいた。盛岡の歴史と北上川の役割を振り返りながら、盛岡にふさわしい、川を活かしたまちづくりを考える機会としてほしい」と語った。
 基調講演では、まずリバーフロント研究所代表理事の金尾健司氏が登壇。「川からまちの再生—国内外の事例から—」と題し、国土交通省で30年間、河川行政に携わってきた自らの経験を元に、4つの観点(「かつての水辺は」「水辺受難の時代」「水辺の復権」「かわまちづくりで応援」)から述べた。その中で金尾氏は、「これまでのように河川管理者が一方的に水辺を整備するのではなく、主役である市町村や民間の発想が必要。地元振興や経済活性化など街づくりのために、水辺を使っていくことが大切だ。『かわまちづくり支援制度』では民間の人も発意できるよう改正されているので、ぜひ活用してほしい」と語った。
 次に、東海大学文学部講師の兼平賢治氏が「歴史から学ぶ川の街・盛岡の魅力」と題し、盛岡と北上川の歴史的な関わりについて史料をもとに語った。
 最後に、中村孝一が登壇。「富山市における水辺復活への想い」と題し、富山市中心部の松川に運航する遊覧船の取り組みを紹介。満開の桜の中を遊覧船が行き交う映像が流れると、参加者から「富山にこんな素敵な水辺があったとは」との驚きの声が聞かれた。

 パネルディスカッションでは、平成29年2月に設立した「北上川に舟っこを運航する盛岡の会」事務局の阿部優氏が、「かつて舟運が盛んだった北上川に再び舟っこを運航させ、地域観光の振興を図り活力ある地域の形成につなげたい」との地元の熱い想いを述べた。さらに、盛岡まち並み塾理事の金野万里氏が「盛岡の街と北上川のつながりは非常に深い。岩手山と北上川の景観を活かしながら、盛岡八景にうたわれている舟橋の幽景も再現できたら…」と、今後への期待を語った。
 締め括りに、司会の平山健一氏が「高い志を持って、誠実に地道に積み重ねていく中で、目標に近づいていきましょう」と呼びかけ、閉会となった。

写真提供/北上川「流域圏」フォーラム実行委員会

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