創刊号 「編者が選ぶ今月の黙想」より「夢みることをやめてしまったら」

創刊号 「編者が選ぶ今月の黙想」より

夢みることをやめてしまったら

 この世界を、もっと良い世界にする働きを止めれば、あなたはふけこんでしまいます。あなたが何年に生まれたかなどは、問題ではないのです。より良い世界を夢みて働きかけることを止めたとたんに、あなたの頭脳と精神は、一度に年をとってしまいます。
 幼い頃は、想像力が知識の代わりをしました。私たちは世界がどのようなものであるかを空想し、また心の中ではそれは理想の世界でした。青年時代に、私たちは、世界が本当はどのようなものであるかを発見しますが、それでもまだ、想像した世界の幻を抱いています。幼い頃、私たちを発見と探険にかりたてたものは、成年においては改革と改良へとかりたてるのです。
 あまりにも多くの場合、年とともに私たちは、幼年時代の空想と、青年時代の大望を失ってしまうのです。もはや、より良い世界を目指して働かなくなります。身の安全を求めて奮闘し、良かれ悪しかれあるがままの世界に安住します。そこにいたる過程のどこかで、私たちは理想を失ったのです。ただ生計を立てて、この現状の世界を楽しくすごせば、それで満足してしまいます。青年時代に、あれほど明るく燃えた火は、うす暗くなっています。あの小さなブリキの剣は、さびでおおわれています。もし私たちが夢みることを止めてしまったなら、私たちは年とってしまったのです。

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