富山を世界ブランドに

河田 章

日本興業銀行(現みずほ銀行)
富山支店長

 

 私は1990年から約2年間、長崎・ハウステンボスに出向しておりました。土木工事が終わった頃から3月のグランドオープンを経て、オープン後の約半年間、建設、不動産、アミューズメントの責任者として仕事をさせていただいたのです。建物が立ち上がってくるところを見ておりますので、オープン時は特別の感慨があり、今でもハウステンボスには大変な愛着を持っています。
 そういった経験から、富山の観光について考えてみたいと思います。率直に言いまして、富山は観光地になる素材を数多く持っています。ただ、それがうまく活用されていない。活用するには、まず世界ブランドの人(施設)を富山に呼ぶことが必要だと思います。
 そういう人たちに、例えば地鉄の電車をデザインしてもらうとか音楽を作ってもらうとか、あるいは室堂でジャズフェスティバルを開いてもらう。また、フォーシーズンズのような一流ホテルを誘致する。そうなっていきますと、富山も変わってくるのではないでしょうか。
 それからアピールの仕方ですが、「水が美味しく、魚がうまい」という方法もあるでしょうが、どちらかというと、住んでいる人の論理で言っているような気がします。
 「富山に行きたい!」と思わせるような所にするには、「こんな所は富山にしかない!」というものを発信していく必要があるのではないでしょうか。とは言いましても、私たちは自分が住んでいる所の特徴は、あまり見えてこないものですが…。
 発信の媒体としては、観光雑誌等だけでは限界があります。例えば、ピエール・カルダンに電車等のデザインをしてもらうと、それがファッション雑誌にも出る。トップモデルを呼んでファッションショーを開くと、世界中の人から、「富山はどこだ?」ということになる。それが富山を世界ブランドにすることだと思います。
 これからは、工場を誘致してというストックの時代ではなく、情報・技術・アイデアといったフローの時代になると思います。そういう意味でサービス業、つまり観光業が重要な意味を持ってくるわけですが、これに気がついている人が少ないように思います。
 目に見えるものではなく、瞬間で消えるもの、思い出に残るもの、そういったものにお金を使う時代になってきています。ですから、ホスピタリティーを含めて五感に快感を与えるもの(=観光業)が今後の経済力の基になっていくと思います。

※グッドラックとやま 平成 8(1996)年11月号「地域文化論」より・役職は当時のもの


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