元・県土木部長が「自然美が出現する庭」についての試みと思索を記録した本

現象のデザイン
埴生雅章著 萌文社
2200円+税

 

 著者の埴生氏は、県都市計画課長や土木部長として、太閤山ランド、富岩運河環水公園などの計画と事業に携わってこられた。現在は、小矢部市の「アートハウスおやべ」アートプロデューサーや小矢部市芸術文化連盟会長を務める他、木曾義仲祈願社として知られる埴生護国八幡宮の宮司を務めている。また、絵画やインスタレーション(現象造景)の制作をおこなう芸術家としての顔も持つ。
 本書は、自然の現象を活かす庭についての試みと思索の記録である。
 第Ⅰ部では、①自宅の庭の一角に設けた散水設備を組み込んだタイル張りの小広場で、雪の造形や水面の波光・ゆらぎ・水鏡・雨粒の波紋、太陽の光と影などの現象を観察した様子、②2014年にクロスランドおやべで開催された空間造形展に設置した自作の作品が、気象変化や朝昼夕の自然光の変化に応じて様相が移り変わる様子、③庭先の卓上に設置した箱庭ならぬ〈板庭〉で、天気(天象、気象)など日々刻々と変化する自然の様相を観察した様子、④清水が注ぐ庭先の水盤に白板や鏡面板を沈め、光と水の出会いの様相を観察した様子などを写真入りで紹介している。 
 第Ⅱ部では、仕事での体験の中から現象を活かす造景について再考しているほか、古代の言葉・造形文化を手掛りに神道の視点も取り入れて、庭という空間の特質や古代の人々の現象のとらえ方を探求している。また、現象を活かす造景のあり方、自然美が出現する庭の考え方と方法についても、まとめている。


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