川を活かした街づくりは公園と一体的に

富山県土木部長
江幡 光博 さん
Mitsuhiro Ebata

 

 「近年、川を活かした街づくりの取り組みが全国で活発化している。その中でポイントとなるのは、「治水」を担う河川管理者の許可を得られるかどうか。


 「(行政の中でも)例えば、橋を架ける時に、河川課と道路課が調整をしますが、河川課は治水上問題のある架け方は好まないし、道路課とすれば利便性を考えてこんな橋を架けたい、という思いがある。意見が合わないのは、マインド的にはやむをえないと思います。なぁなぁになっていくと県民の生命財産に関わってくる話ですので。ある程度、肝の部分は河川課がしっかりやっていく必要があるんです」
 平成9年(1997年)に河川法が改正され、河川の持つ多様な自然環境や水辺空間に対する国民の要請の高まりに応えるため、河川管理の目的として「治水」「利水」に加え、「河川環境」(水質、景観、生態系等)の整備と保全が位置付けられた。国土交通省でも、新しい水辺の活用の可能性を切り開くための官民一体の協働プロジェクト「ミズベリング」を推進している。
 「松川も昔はひどい川でしたが、今はだいぶん改善されてきましたね」
 松川では、20年以上前から、アメリカ・テキサス州のサンアントニオを参考にした整備が提案され、これまで多くの県民が視察に訪れている。2003年9月には、神通川馳越線工事完成100年を記念して「川と街づくり国際フォーラム」が開催され、サンアントニオ市公園管理者のリチャード・ハード氏の基調講演も行われた。4年前には〝水の都とやま〟推進協議会も設立されている。
 「サンアントニオは本当に素晴らしいところですね。ただ、河川事業では、治水上にメリットがあるやり方しかできないので、〝公園と一体的に〟という流れの中でやれればと思います。私が住んでいる舟橋村の京坪川河川公園もそうですが、川と一体的に公園を整備する、という流れでやったのでできたんですね。平成元年に、松川を取り込んで〝親水のにわ〟が完成しましたが、あれも公園を整備するという、公園事業としてやれたんですよ」とアドバイスを頂いた。

 

プロフィール ●
昭和36年(1961年)、氷見市生まれ。富山県中新川郡舟橋村在住。 昭和60年3月、京都大学工学部土木工学科卒。昭和60年4月、富山県入庁。平成13年4月、企画用地課企画調整係長。平成17年4月、知事政策室総合交通政策課副主幹。平成20年4月、都市計画課課長補佐。平成25年4月、建設技術企画課主幹。平成28年4月、小矢部土木事務所長。平成29年4月、道路課長。平成30年4月、土木部次長。令和2年4月、土木部長。2003年の「川と街づくり国際フォーラム」の県の窓口を務める。

 

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