河川敷での民間活力による賑わい創出が広がっています!

国土交通省 北陸地方整備局長 小俣 篤 さん

平成9年に河川法が改正され、河川管理の目的として、「治水」、「利水」に加え、「河川環境」の整備と保全が位置づけられた。その後、河川敷地占用の規制が緩和され、民間事業者による占用も可能になるなど、民間活力による水辺の賑わいの創出が全国で試みられるようになった。本省の河川環境課長として、その最前線におられた小俣局長に話を聞いた。

「戦後の高度成長期は、ともすると、川を埋めて道路や公園、建物の用地にしたいという地域の声が強い中で、県や国は洪水対策のため、固く川を守ってきたわけです。コンクリート三面張りにしたとか、いろいろ批判はあるわけですけど。その結果、川は街に唯一残された自然が感じられる広々とした空間になったのです」と、これまでの経緯を振り返る。
 そして、最近、行政の厳しい財政状況等も背景に、洪水の流れを妨げることのない範囲で河川敷(国有地)を民間に使ってもらい、その代わり、周囲の掃除や植栽をしてもらおう、という流れになっているのだという。
 「お互いにとっていいわけです。ただ、市役所などが中心になって、民間の利用について市民の間できちんと合意が得られる仕組みを作って頂く必要があります」
 この規制緩和によって、全国で、水辺を生かす取り組みが始まり、近県では、新潟・信濃川の「やすらぎ堤」が注目を集めている。
 「大阪の道頓堀の場合、護岸の耐震対策に併せて歩道を作ったことで、お店が川を向くようになりましたし、東京の隅田川の遊歩道でも数カ所で始まっていますね」
 数年前から、ミズベリングという、水辺を生かすアイデアや知恵を出し合う運動も始まっている。
 「民間の人は、そこで儲けないといけない一方で、ただ儲かるだけでもうまくいかない。公共性というか、みんなのため、というところがどこかに必要だと思いますね」 

おまた・あつし●
昭和36年(1961年)10月12日、東京都出身。東京工業大学卒。昭和59年、建設省(現・国土交通省)入省。金沢、名古屋、大阪などに赴任。本省・水管理・国土保全局 河川環境課長を経て、今年7月7日付で、北陸地方整備局長に。東京に妻と2人の娘を残し、単身赴任中。
「大学では土木系で、研究室が水関係でした。大学3年の時に、北海道の十勝川に実習に行かせてもらって、川が好きになって、自分の生涯の仕事を考えた時、『川の仕事かな』という感じになったんですね。でも、大元は、山梨の親の実家が川べりにあって、しょっちゅう釣りをしていたことにあるんだと思います(笑)」

 

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