一定の条件を満たせば河川敷で民間による営業活動も可能に

公益財団法人 リバーフロント研究所
代表理事 金尾 健司 さん

 河川行政のトップ、国土交通省 水管理・国土保全局長を経て、今年、水や水辺に関する諸問題について、調査研究・技術開発、提言の発信に取り組む(公財)リバーフロント研究所の代表理事に就任した金尾氏。さる10月29日に岩手県盛岡市で開催されたシンポジウム〝川とまちづくり「盛岡の街と北上川」〟で「川からのまちの再生」と題して基調講演。川とまちの関わりについて過去を振り返り、最近の動きを紹介した。

「歌川広重という江戸末期の浮世絵師が江戸の名所を描いた『名所江戸百景』というものがあります。百枚を超える絵のうちの4分の3に、川や水辺が描かれ、水辺は美しい風景を形成して、人々が集い、憩う場所だったことがわかります」
 一方、川は、交通や、物流という重要な機能も持っていたと金尾さん。
 「また、川で洗濯をしたり、生活面でのつながりもあった他、人と生き物が共生する場所、また、水泳をしたりと、大変身近な場所でもありました」
 ところが、高度成長時代、経済活動や、人間の生活の利便性が優先され、川はないがしろにされた。
 「産業廃水や生活排水で川の汚染がどんどん進んだ時代でした。また、急激な都市化が進み治水対策を急いだあまり、無機質の三面張りの排水路的な川にならざるを得なかった。また、多くの川が、戦災復興のがれき処理などで埋め立てられたり、暗渠になりました」
 その後、昭和60年代頃から、水辺の価値を見直す動きが出てきたという。
 「安定成長の時代に入り、物質的な豊かさに加えて、心の豊かさを求める時代になった。そして、平成9年に河川法が改正され、河川環境の整備と保全が明確に位置づけられました」
 現在では、一定の条件を満たせば、河川敷で民間による営業活動も可能になっている。
 「『かわまちづくり支援制度』は、民間の人が手を挙げて、そこからスタートもできるという制度になっています」

かなお・けんじ●
1958年(昭和33年)5月生まれ。京都府出身。東京大学大学院工学系(土木)修了。1983年4月、旧 建設省(現 国土交通省)入省。2012年、国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課長、2013年、同河川計画課長、2014年、九州地方整備局局長。2015年、水管理・国土保全局長。2017年、(公財)リバーフロント研究所 代表理事に就任。
「京都府南部の宇治市で少年時代を過ごし、遊びの中心は川などで泳いだり魚を取ったりすることでした。大学では希望が叶って河川に関する研究に携わり、幸い国交省勤務もほとんどが河川に関する仕事でした。今でも、渓流釣りやカヤックでの川下りを通じて川に親しんでいます」

 


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