阿尾城跡(氷見市) 前田慶次が城代を務めた城


 阿尾城跡は、氷見の海に面した独立丘陵(標高38m)上に築かれた戦国時代の城跡で、越中と能登をつなぐ街道がそばを通り、海上の交通も把握できる重要な場所でした。天正・文禄年間(1573〜1592)の城主として菊池氏の名前が史料に出てきます。菊池氏は、上杉謙信に従った後、織田信長配下の佐々成政に属し、その後、成政と対立した前田利家へと寝返り、戦国の世を生き抜きました。
 なお、阿尾城は、傾奇者として知られる前田慶次が、一時、城代として滞在していたことがあることから、全国の歴女をはじめ歴史ファンから熱い視線を送られている城でもあります。佐々成政が8000の兵を率いて富山城を出立し、能登・末森城を攻めた際、慶次は利家の配下として救出戦に参加し成政軍を撃退。その後、菊池氏が城を明け渡した阿尾城に利家と共に入城し、成政の阿尾城放火作戦も退けました。慶次は、利家が金沢に戻るのに際して城代を任され、成政配下の神保氏張が5000の兵で攻めてきた時には、少ない兵で防戦し、近くに見廻に来ていた村井長頼の精鋭軍300と共に撃退しました。
 城跡には、本丸、二の丸、三の丸と伝えられる場所があり、展望台からは素晴らしい眺望を楽しめます。また、近年、公園化も進められ、これからの季節(3〜4月頃)は、地元の方が植えられた水仙や桜が見頃を迎えます。

■参考/氷見市観光情報サイト「きときとひみどっとこむ」、「前田慶次郎」(近衛龍春 著・PHP文庫)


阿尾城跡に集う会
松波久晃会長

 20年程前、阿尾城周囲にあったテトラポットを自然石にする工事と共に、公園化が始まり、10年程前に完成しました。その後、地元で、桜、水仙、紫陽花を植えています。この10年、本当に観光客が増えました。前田慶次が3カ月程いたということで、昨年、氷見市立博物館の学芸員の方に話を聞く勉強会を開きました。今後、のぼり旗を立てたり、パネルを設置したりして慶次との関わりをアピールしたいです。(2016年3月号)

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