46. ヘバさん(エジプト)

プロフィール

出身国…エジプト カイロ 趣味…パン・お菓子づくり、天文学が好き お国自慢…古代からの悠久の歴史(歴史は誇りに思えるけれど、現在のエジプトは良いとは言えず、残念) 海外在住経験…アメリカ40日間、富山合計6年(一度エジプトに戻り、また来県) 来県のきっかけ…富大薬学部で博士号取得しました。

☆富山に来た時の第一印象は?
 2008年、初めて富山に来た時の印象は良くありませんでした。英語が通じない、街には英語表記が無い、公共交通機関の本数が充実しておらず、自宅へ帰るためのバスの本数が少ない…・時間をどこでつぶしたらいいのか、どこへ行けばいいのかもわからず、ただひたすらバス停で1時間も待っていたことが強く思い出に残っています。

☆出身国等と比較していかがですか?
 カイロは、東京・大阪と同じです。大量消費社会であり、物質主義が非常に強い。常に人と比べて、いいものを身につけたい、美味しいものを食べたい、リッチな生活をしたい…。そういえば、富山にもコストコが入ってきましたね。割安とはいえ、大ロットで買うと、あとになって無駄も出て来るものです。食べきれなかった、使い切れなかった…と。購買意欲だけがかき立てられ、本当に必要かどうかを冷静に考えられなくなってきます。
 富山は穏やかで平和的、大量消費社会から距離を置いていて、物欲至上主義のような生き方から遠ざかっている場所だと思います。私はイスラム教徒なのですが、イスラム教徒は物質主義をよしとはしていませんので、富山は「良いイスラム教徒でいられる場所」です。大量消費社会は常に目が外に向きます。他人との比較、次は何を買おうか…。ですが、富山に居ると、自分の内面に意識を向け、自分自身に集中することができます。
 そして私が何よりもこの言葉で富山を表現したいのですが、富山は「美的」であるということです。人が素晴らしく、美しい自然にあふれている。外国人が富山で生活する上で問題になるのはただ一つ、言葉だけ、それ以外は全て素晴らしいと私は思っています。富山に到着してからの半年間、日本語のレッスンを受けました。それからというもの、富山での生活を満喫できています。人々の立ち居振る舞い、文化など全てが素晴らしい。家族や友人には、日本への誘い文句として「日本人に会いに来てほしいの!」と言いたいのです。富山に来て私の価値観は180度変わりました。富山のあまりの居心地の良さに慣れてしまった私は、一度カイロに戻った時、カイロの生活に馴染めなくなってしまっていて、4カ月間も閉じこもりがちだったのですから。


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